
リッチマンヘッドコーチ「一人の人間として素晴らしい」
10月8日、アルバルク東京はホームで佐賀バルーナーズに90-74で快勝。連勝を3に伸ばした。
A東京は、第1クォーターに堅いディフェンスからの攻守の素早い切り替えでイージーシュートの機会を作り出すと、ディー・ジェイ・ホグ、キヨンテ・ジョンソンのウイングコンビで合計19得点をマーク。チーム全体でフィールドゴール15本中11本成功と、文句なしのオフェンスで29-15と先制パンチに成功する。
これで主導権を握ったA東京は、そのまま勢いを維持して2桁リードで前半を終える。第3クォーターの序盤、佐賀にテンポの良いパス回しから連続得点を許し、2ポゼッション差にまで詰められるが、ここでホグとジョンソンの得点によってすぐに2桁に突き放す。その後もゴール下を軸に高確率でシュートを沈め、自分たちのペースで試合を進めて快勝した。
この試合、A東京は得点源のホグとジョンソンが合計48得点をマーク。そして2人と同等のインパクトを与えたのが平岩玄で、21分52秒のプレータイムで8得点10リバウンドの大暴れだった。
特別指定選手として加入した2018-19シーズン以降、A東京一筋の平岩は、これまではプレータイムに恵まれない日々を過ごしてきた。だが、今シーズンに入ると、開幕戦で見事な繋ぎ役をこなして6分半の出場。10月4日の千葉ジェッツ戦では、16分40秒のプレータイムで2得点9リバウンド3スティールを記録しており、これで2試合連続のハイパフォーマンスとなった。
この2試合で平岩がプレータイムを増やした要因は、ラクラン・オルブリッチの戦線離脱も影響しているが、これまでは、外国籍選手が1人欠けている状況でもローテーション入りすることは皆無だった。ライアン・リッチマン新ヘッドコーチの下、キャリア初となる主力待遇をつかみつつある。
リッチマンヘッドコーチは、平岩のステップアップの背景には、シーホース三河時代から自身を支えてきた参謀の貢献があると語る。「(水野)宏太さん(トップアシスタントコーチ)が、彼の指導に当たっています。以前は(シェーファー)アヴィ(幸樹)の指導もしていて、選手育成において素晴らしいコーチです。玄の能力を最大限に引き出すため、何を重視して取り組む必要があるか正確に把握しています」
もちろん指揮官は、「玄は本当に懸命にプレーしますし、一人の人間として素晴らしいです。これからさらに上達していくために、彼のための計画を立てています」と平岩のハードワークを称え、さらなる成長に期待している。

「他チームからオファーがあってもアルバルクを選んでいる」
これまで平岩は出番に恵まれない中でも地道な努力を継続していた。リッチマンヘッドコーチもすぐに感銘を受けたバスケットボールへの取り組み方についての矜持をこう語る。
「僕らの活動は試合以上に練習の方が長いです。練習での姿勢を評価してもらっているから、このチームに残り続けることができていると思います。だからこそ、今回のようなチャンスが来たら結果を残さないといけないですし、今日はそれができたことへの充実感はあります」
平岩は東海大ではインカレMVPに輝いた貴重なビッグマンで、早くから将来を嘱望されてきた。だからこそ、出番に恵まれないなら環境を変えたほうが良いという外野の声は挙がっており、本人も「SNSとかでよく見ますけど(笑)」と、認識していた。
だが、平岩には、A東京で出番をつかむことへの譲れないこだわりがある。「チームのことが大好きですし、毎年他チームからオファーがあって迷うこともありますが、アルバルクを選んでいる背景があります。このチームで良い選手がたくさんいる中でプレータイムを勝ち取るのは、最初から自分の選んだ道です。すごく難しいですけど、いろいろな人の支えのおかげで頑張れているので今日は良かったです」
これまでのたゆまぬハードワークが結実し、今の平岩は長い雌伏の時を経て、飛躍のチャンスを迎えている。オルブリッジが離脱している状況下で、開幕から好調のジョンソン、ホグの両ウイングを引き続き今のポジションでプレーさせるためにも、貴重な日本人ビッグマンの平岩は、これからA東京が勝ち星を伸ばしていけるかの大きな命運を握る存在となりつつある。