ジェイレン・デューレン

精神的に成長し、プレーオフの不振を乗り越えられるか

ピストンズとジェイレン・デューレンの契約延長交渉は難航を極めた。キャリア4年目の昨シーズン、デューレンは70試合に出場して19.5得点、10.5リバウンドを記録し、ピストンズを東カンファレンス1位に導き、彼自身はオールスターとオールNBAサードチームに選出された。今のNBAでは屈強かつ動けるセンターの価値が高い。ルーキー契約の最終年に飛躍のシーズンを過ごしたことで、彼は最大5年2億8710万ドル(約430億円)のスーパーマックス契約か、それに近い大型契約を得られると踏んでいた。

ところがピストンズは5年1億9000万ドル(約290億円)の条件しか提示せず、なおかつ体重の条件まで付けようとした。キャリアを通じてケガが少なく、体重管理もできているデューレンにとって、この扱いは屈辱的なものだった。サラリーキャップの縛りが厳しい今、彼と同世代の選手の多くが満足のいく契約を得られずに所属クラブと衝突しているが、その中でもデューレンとピストンズの感情的対立は大きなものとなった。

ピストンズにも言い分はある。スター選手の真価が問われるプレーオフで、彼のスタッツは10.2得点、8.5リバウンドへと急降下。プレーオフで攻守の強度が上がる中で積極性を失ってしまったデューレンを相手ディフェンスは放置し、ケイド・カニングハムへのマークを厚くした。それでも攻め気を取り戻せなかったデューレンが評価を下げたのは無理もなかった。

ピストンズがアサー・トンプソンに5年1億5500万ドル(約230億円)の契約延長を与えた一方で、デューレンへのオファーの上積みは1000万ドル(約15億円)だけで、交渉は行き詰まっていた。数日前にピストンズは新シーズンに向けて始動したが、デューレンはチームに合流していなかった。契約延長期限となる10月1日が終わる90分前になって、デューレンは新契約にサインしたと報じられている。

今回の契約交渉における感情的な対立が、シーズンに悪い影響をもたらす可能性はある。それでもピストンズとしてはデューレンに要求されるままスーパーマックス契約を与えるわけにはいかなかった。結果として5年2億ドル(約300億円)で22歳の若きオールスターセンターをキープできたのは大きい。プレーオフの落ち込みは、若い選手なら大なり小なり経験する試練で、昨シーズンの屈辱が彼を精神的に一回り大きく成長させる可能性もある。

彼の年齢であれば、成功も失敗もすべてが糧になる。ニコラ・ヨキッチやビクター・ウェンバニャマのような『リーグの顔』にはならなくても、カニングハムとともに長くピストンズを支える『頼れる大黒柱』になるはずだ。