
「ディフェンスにコミットできたのは彼らがいたおかげ」
八村塁、河村勇輝が代表復帰した初陣『買取大吉カップ2026 (東京大会)』は、男子日本代表が88-68で韓国に勝利した。
2人の加入で日本のオフェンス力は格段に上がり八村が22得点、河村が12得点6アシストと牽引した。それでも、2人が合流してから2日しか経っていないチームは、これまで見せていたそれぞれの個性が消えてしまう場面も散見した。その中で淡々と自分の役割を徹底し存在感を放ったのが馬場雄大だ。
馬場は、第2クォーターの中盤にスティールから速攻に繋げて自ら得点すると、その直後にも相手のミスを誘うプレーで韓国に得点を許さない。リバウンドルーズボールにも勢いよく飛び込むなど、このクォーター開始から4分で形成された15-2のランに大きく貢献。終盤にも再びスティールからアタックし、外角で待ち受ける富永の3ポイントシュートをお膳立てした。
馬場はジョシュ・ホーキンソン、八村に次ぐ19分6秒のプレータイムで4得点4アシスト3スティールを記録。『FIBAワールドカップ2027アジア予選』で、ここまで平均8.5得点を挙げていた彼にとって物足りないスコアになったがそれを気にするそぶりはない。「(八村と河村の)オフェンスの頼もしさはすごいので、ディフェンスによりシフトできました。ゲーム感覚も空いたので、今日はがどれだけ動けるのか探りながらプレーしましたが、ディフェンスにコミットできたのは、彼らがいたおかげだと思います」
「僕の中ではやるべきことをやるという感じでした。自分の役割である、ディフェンスから流れをつかむことは意識していたので。2人がオフェンスにシフトしてくれたからこそ、ディフェンスにかなり集中できました」
役割を遂行する馬場がいる一方で、強力な個性を持つNBAプレーヤーがチームに合流したことで、個性を出せない選手もいた。アピールする難しさについて馬場は「周りにベクトルを向けるよりも『いかに自分にベクトルを向けるか』だと思います。彼らが帰ってきたことでそれぞれ役割がある中で、それを徹底する思いがあれば、別に周りは関係ないです。自分の役割を意識するために自分に向けたベクトルを意識することが大事で、自分がパフォーマンスを発揮できたのはそれができたからだと思います」

長崎で得た矜持『グッドショットではなくグレートショット』
馬場は屈強なディフェンダーとしてだけでなく、周りを生かす潤滑油としての役割も果たしていた。「チームとしていかにいいショットを打つか。グッドショットではなくて、グレートショットを探しています」。この考えは、昨シーズンの長崎ヴェルカのチームルールにあった『ゴールドメダルショット』に通じる。Bリーグ制覇を成し遂げた長崎での経験が彼のバスケット思考に染み付いている。
「自分が気持ちよく打つことで絶対に確率も上がってくると思います。そういった意味でチームとして確率の良いグレートショットを探しています。別にアタックしようと思ったらできるんですが、コーナーにいる塁にパスをしたり、エクストラを考えていました」。その結果、馬場はワールドカップ予選では平均2.8本だったアシストを上回る4アシストを記録して、自ら得点を狙うスタイルからシフトチェンジし、新たな日本代表のスタイルにアジャストしようとしている。
上手く変化を受け入れようとしている馬場は、八村たちに感化されている部分もあると話す。「やっぱり韓国相手に全く負けるマインドを持っていないじゃないですか、彼らは(笑)。圧倒的なその気持ちの強さは、チームに良い影響を与えたと思います。それに加えて気持ちだけでなく、本当にパフォーマンスでも相手選手を圧倒するプレーをするので、そういった意味でポジティブの連鎖が生まれたと思っています」
日本は強力なカードを手に入れたが、『最強の布陣』はまだ完成していない。それぞれが自分の役割に徹して補い合い、自身の個性が日本の最高峰だということを再認識して、能力を発揮することが必要だ。馬場はそのロールモデルとなるプレーをこの試合で見せたと言える。