桶谷大

「まずはチャンピオンシップにしっかり出られるチームを作っていきたい」

7月21日、川崎ブレイブサンダースは桶谷大新ヘッドコーチの就任会見を行った。契約期間は3年と発表されている。現在、男子日本代表の指揮官も務める桶谷ヘッドコーチは、昨シーズンまで琉球ゴールデンキングスを率いて5年連続ファイナル進出の金字塔を打ち立てた。今、リーグで最も実績を残している新指揮官は、Bリーグ初期から好成績を残すも、ここ2年連続でリーグ下位と低迷する名門・川崎の復活に挑戦する。

琉球での成功により、桶谷ヘッドコーチには新天地として複数の選択肢があったのは想像に難くない。その中で川崎を選択した理由をこう語る。「川崎というチームには本当に伝統があります。みんなから強豪と言われていた頃を取り戻したい、という強い思いを、交渉の席で会った時にも感じました。キングスの後、自分がどこで指揮を執るのかを考えた時、この挑戦が自分にとって一番モチベーションが上がり、やりがいがある。川崎で指揮を執りたいと思いました」

様々な要素がある中で、まずは個の成長を大切にしていく。「温故知新ではないですが、良いものを残しながら新しいものをしっかり取り入れていく。そしてチームとして個をしっかり伸ばしていくことです。個の能力をしっかりと上げ、そこでチーム一体となってそれぞれがお互いをリスペクトしながら共存していく。そういうチームを作れたらなと思います」

そして、「目標は1つしかない」と頂点を目指していく中で、「ただ、やっぱり簡単なものではない。まずはチャンピオンシップにしっかり出られるチームを作っていきたい」と新シーズンの目指す位置を語った。

桶谷大

「目の前のやるべきことに集中することで物事は変わっていく」

琉球時代の桶谷ヘッドコーチは、ジャック・クーリーとアレックス・カークのツインタワーを軸にゴール下を支配するチームで結果を残したが、特にインサイドゲームを好んでいる訳ではない。日本代表の采配を見てもわかるように、重視しているのは自分たちの戦力の最大限の力を発揮するのに適したスタイルで戦うこと。そして、これまでチームが積み上げてきたものを尊重するのが彼のやり方だ。

これは川崎でも同じであり、だからこそ「まずは、これまで何が行われてきたのか、何が良かったのかを僕が勉強しないといけないです。その中で残さないといけないものはやっぱりあると思います。そこを大事しながら、自分のエッセンスを少しずつ入れていくのが正しい方法だと思います」と語る。

これまで桶谷ヘッドコーチは、bjリーグ時代も含めて琉球に数々のタイトルをもたらしてきた。だが一方で大阪エヴェッサ、仙台89ERSでは思うような成果を挙げられなかった。すでに確固たる実績を残している指揮官だが、今回の川崎就任は下位のチームを上位に引き上げる、セミファイナル止まりからファイナルに導くことを求められた琉球時代とは全く違うミッションとなる。

川崎と琉球では与えられた状況が全く違うが、当然のようにライトファンがそこまで認識している訳ではないだろう。だからこそ、川崎でもすぐに結果を求める期待の声は少なくなく、桶谷ヘッドコーチも、「代表監督もやっていて周りの期待はすごくあると思いますし、勝ち続けていけないというのはもちろんあります」と語る。

それでも、それがプレッシャーになることははないと続ける。何故なら新天地でも自身のフォーカスするべきことは同じだからだ。「5年連続ファイナルに行ったといっても、特別なことをやってはいなかったです。自分たちができることをやるしかない。過去や未来ではなく、今目の前のやるべきことに集中してやってきただけです。それで物事は変わっていくと思います」

5年連続ファイナル進出、日本代表監督という輝かしい実績のみが強調されるが、それと同時に桶谷ヘッドコーチは2006年の大分ヒートデビルズ時代からここまで1年も休みなく指揮官を務めてきた豊富な経験がある。多くの成功に加え、同時に失敗も経験し、それを成長の糧にしてきた指揮官だからこそ、この名門復活という難関ミッションも攻略し、新たな勲章を手にいれると期待したい。