2人のエースを欠きながら入替戦を勝ち抜く
福井工業大学附属福井は昨年、創部2年目にしてインターハイとウインターカップに出場。インターハイで記念すべき全国1勝目を挙げると、ウインターカップでは3回戦に進出。桜花学園に敗れたものの、『高校バスケの女王』に対し78-81と大善戦を見せた。
U18日清食品ブロックリーグ2025ではグループCで優勝を果たし、この週末に行われた『U18日清食品トップリーグ2026入替戦』では福岡大学附属若葉、昭和学院と実績ある2チームを撃破。U18日清食品トップリーグ2026の出場権を勝ち取った。
新チームで臨む入替戦では、昨年の経験値を持ち込むことのできる下級生チームが有利となる。創部2年でまだ1、2年生しかいない福井工業大学附属福井は、昨年のチームがそのまま入替戦に出場できるのが大きなメリットのはずだったが、キャプテンの小池昌鈴と留学生のサジョ・レイが揃ってケガで出場できず。ウインターカップの桜花学園戦で78得点を挙げたうち63得点を記録した2人を欠いての戦いとなった。
林慎一郎コーチは福井県の県立足羽を33年間指導して全国の常連に育て上げ、アンダーカテゴリーの日本代表を率いた実績もある指導者。退任後に福井工業大学附属福井から声を掛けられて、1年間の準備期間を経てチームを立ち上げた。「ウチは経験から何から全部足りませんから、思い切ってチャレンジさせていただくだけ」と、あくまで挑戦者の気持ちで入替戦に臨んだ。
今回、Wエース不在のチームを引っ張ったのは板橋香苗だった。ウインターカップでは小池とサジョとともに出場していたが、泥臭いディフェンスとリバウンド、攻めに転じればブレイクの起点となるハードワークでエースを引き立てるのが役割だった。
その板橋が1年生留学生のマリアマ・ジャローとともにチームを引っ張る。福岡大学附属若葉戦では26得点、昭和学院戦では11得点を記録。「小池さんがいない分の点数を誰かが取らなければいけなくて、私はゴール下のパワーやシュート力が足りないと思うのですが、まずはブレイクから点を取ることを意識していました。小さい頃からずっと『自分にできることを精一杯やる』という気持ちでプレーしていて、今回も同じでした」と板橋は言う。
入替戦の初戦を終えた時点で「いつも試合前はすごく緊張しますが、コートに立つと緊張はなくなります。走り出したら大丈夫です」と語った板橋は、実際に2日目の昭和学院戦でも疲れを見せずに40分フル出場。攻守にチームを引っ張った。
「経験値のないチームだから、挑戦し甲斐があります」
林コーチは「1年生ガードの田原莉桜がしっかりプレーして崩れなかった。マリアマもサジョとはタイプがまったく異なりますが献身的にプレーしてくれました。そして板橋は今回すごくスパークしてくれました」と接戦を制する形となった昭和学院との試合を振り返る。
板橋は群馬出身。本格的にバスケを始めたのは中学からで、中学でも上を目指してプレーしていたわけではなかった。その板橋に目を付けたのは小林沙織アシスタントコーチ。県立足羽での林コーチの教え子である彼女は、地元の群馬でキャリアはなくても目立った活躍を見せていた板橋を推挙し、林はすぐに群馬へと足を運んだ。
全国大会出場などの経験を持たない『原石』だったが、林コーチは「チーム立ち上げの時期で、3年間じっくり試合で使いながら育てられるので、キャリアがないことは気にしなかった」と、板橋をスカウトした時を振り返る。「高校でも地元で楽しくバスケができればという感じでした」という板橋も、チーム1年目からプレーできることに魅力を感じて福井工業大学附属福井への進学を決めた。
小学校ではバスケとともに、男子に混じってラグビーのチームに入っていたという板橋は脚力が強く、走って跳ぶ身体能力が強い。その爆発的な加速力が、「頑張って縦に走る、弾けるようなバスケがしたい」という林コーチのイメージに合った。この2年間の板橋は、練習熱心な姿勢もあり、林コーチの指導をどんどん吸収して上手くなった。「試合に出すたびにミスばかりでしたが、使い続けました。失敗して覚える、また失敗して覚える。せっかくウチに来てくれたのだから、原石を磨いていかないと」と林コーチはうれしそうに話す。その板橋が入替戦でチームを勝利に導くのだから、うれしいのも当然だろう。
4月から福井工業大学附属福井は3年目を迎える。小池や板橋など1期生の選手が3年生となる『勝負の年』に、U18日清食品トップリーグに出場することを、誰よりも林コーチが楽しみにしている。「やっと3年目の経験値のないチームだから、挑戦し甲斐があります。4月に入学する1年生も夏以降は試合に絡んでくると思います。経験値はグッと上がります。面白い子たちが集まってくれたから、その子たちを生かして楽しめたらなと思います」
ボールを奪って流れるような速攻🌊
福井工業大附#7 中村 👉#18 板橋のレイアップ!📡大会公式YouTubeでLIVE配信中https://t.co/Yqa8D7Rtrh#U18日清食品トップリーグ入替戦#U18日清食品リーグ #高校バスケ pic.twitter.com/ntQBZv1szR
— 高校バスケby日本バスケットボール協会(JBA) (@U18_JBA) March 15, 2026

