ディフェンスマインドを保ちつつ選手層の強化に成功
昨シーズンは西カンファレンス2位と躍進したロケッツは、オフになるとケビン・デュラントを獲得して優勝を狙う姿勢を明確に示しました。しかし、開幕前にフレッド・バンブリートが戦線離脱。チームオフェンスを引っ張ってきた絶対的なポイントガードを欠くことで、戦い方にも変化が出てきそうです。
バンブリートの離脱により、トレードで放出したジェイレン・グリーンとディロン・ブルックスと合わせて、チームの3ポイントシュートのアテンプト上位3人が揃っていなくなります。5番目に多かったキャム・ウィットモアも放出済みで、デュラントが加わってもなおアウトサイドシュートには不安が残ります。
その一方でディフェンダーは充実しており、オールNBAディフェンスのファーストチームに選ばれたアメン・トンプソンを始め、タリ・イーソンやジャバリ・スミスJr.など、複数のポジションを守れる若い選手が揃っています。ここにフリーエージェントでドリアン・フィニー・スミスやジョシュ・オコーギーを補強しており、ディフェンスマインドは昨シーズン以上に強化されました。
また、プレーオフではアルペラン・シェングンとスティーブン・アダムスを並べましたが、控えセンターにクリント・カペラを補強してビッグラインナップのバリエーションをさらに増やしました。211cmのデュラントも含めた超ビッグラインナップからウイングを並べる機動力重視のラインナップなど、様々な起用法で強烈なディフェンスを構築できます。
オフェンスはデュラントの個人技と、シェングンのポストアップを起点としたチームオフェンスが中心となります。昨シーズンはバンブリートに次ぐ4.9アシストを記録したシェングンですが、ボールを持つ回数が増えることでスタッツを大きく伸ばす期待も出てきます。2年目のリード・シェパードやアメンとともに誰がプレーメーク役を担うかは、若手チームらしい競争が繰り広げられ、個人としての成長も促されます。
優勝候補の一角といっても、プレーオフではウォリアーズの老獪さに屈するなど、まだまだ勝負どころの経験不足は否めず、改善すべき点は残されています。それでもバンブリートの離脱というピンチを成長のチャンスに変えられれば、優勝の可能性も見えてきます。