
川崎ブレイブサンダースの米須玲音は、今夏初めて長期のオフシーズンを過ごした。課題としているフィジカル面強化に向けた身体作りや、同世代の選手に対する負けず嫌いな部分、そして将来的に自身が目指しているチームでのポジションについて聞いた。(取材は負傷した9月14日以前に実施)
「フィジカルが対等であればオフェンスは大丈夫」
──オフシーズンはどのように過ごしていましたか?
今までのバスケ人生でこんなに長いオフはなかったので、最初はどうしたら良いのかわからず様子を見ていました。実家に帰ったりする人も多いのですが、僕の場合はずっとクラブハウスにいて、先輩たちから呼ばれた時にいつでも動けるようにしていましたね。これまでのオフは最長で1週間くらいだったので、3日間くらい休んだ後に少しずつ身体を動かし出す感じでしたし、1カ月もオフがあるとどうしたら良いんだろう、と……。今回は最初の2週間をしっかりと休んで、そこから練習を始めました。このオフはどうやって過ごしたら良いのかを考えていたら、あっという間に過ぎてしまった感覚です。
──学生時代は大人数で寮生活を送っていたと思いますが、川崎のクラブハウスに住んでいる選手はわずかです。さみしさを感じませんでしたか?
みんなでわちゃわちゃしたいと思う時もありました。ただ、夜は一人でゆっくりしたいタイプなので、テレビを観ながらゆっくりとストレッチができたのは良かったですね。大人数と一緒にいるのは楽しいですが、今は基本的に一人で生活しているので、誰かと半日でも一緒にいるとすぐ疲れるというか、大人になったのかなと思います(笑)。
──昨シーズンの課題の1つに挙げていたフィジカル強化のために、食生活で意識したところはありますか?
オフシーズンからトレーナーさんや管理栄養士さんと、身体の作り方や体重の増やし方について話をしました。昨シーズンは71kg後半だったところから今は74kgくらいまで増量することができています。ただ、体重を単純に増やすと足が動かなくなってくるので、体脂肪を減らすことを心がけました。昨シーズンは体重が落ちて体力がなくなったところもあったので、シーズンを通して体重をキープできればガード同士で当たり負けすることはなくなると思います。フィジカルが対等であれば、ピックをうまく使うことには自信があるのでオフェンスは大丈夫だと思います。

「試合を楽しんでもらい、勝ちを見せるためにプレーしていきたい」
──ちなみに昨シーズンのチャンピオンシップはご覧になりましたか?
はい。宇都宮ブレックスの小川敦也選手などが活躍している姿を見ていて、途中から嫌になって、あとで見逃し配信で見ました(笑)。
──小川選手は同級生で、高校時代は同じ京都でしのぎを削り合う間柄でした。同世代の選手へのライバル意識はありますか?
言葉ではうまく言い表せないですが、自分の中で何かしら思うところはあります。負けず嫌いな性格なので、自分がいない大舞台でよく知っている選手がプレーしている姿を見ていて、自然と嫌な気持ちになっていました(笑)。
──司令塔として、どのようにチームを引っ張っていきたいと考えていますか?
選手一人ひとりの能力を把握し、試合の中でそれぞれの持ち味を発揮させたいです。自分がチームメートに合わせることも大切です。誰と一緒にプレーしても走るバスケットスタイルは変わりませんが、昨シーズンはリバウンドが取れなかったので、そこは考えないといけないです。
──昨シーズンの終盤は先発起用が続きました。「自分がチームの中心に」という意識は強いですか?
昨シーズンは(篠山)竜青さんがバックアップにいてくれたので、スタメンとして自分のやれることをやり切ろうという感覚でした。自分が思いっ切りプレーした結果、ダメだったら竜青さんに助けてもらっていたという状況を徐々に変えていきたい。例えば竜青さんの調子が上がらない時には自分がカバーに回れるよう、段階を踏んで成長していきたい。いずれは今の竜青さんのポジションを担わなくてはいけないと思っています。
──最後にファンへのメッセージをお願いします。
いろいろと選手の入れ替わりがありましたが、ネノさん(ネノ・ギンズブルグヘッドコーチ)のやりたいスタイルは変わらないです。司令塔としてまわりを生かすことが大切ですが、その中でも個人としての見せどころはあると思っています。何よりも皆さんに試合を楽しんでもらい、勝ちを見せるためにプレーしていきたいです。今シーズンも温かい応援をよろしくお願いします。