ドンチッチ34得点のうち17はフリースローによるもの

ルカ・ドンチッチを擁するスロベニアは、ユーロバスケットの初戦でポーランドに完敗を喫した。ドンチッチは34得点9アシスト5スティール2ブロックと素晴らしいパフォーマンスを見せたものの、ポーランドは3ポイントシュートを26本中14本(53.9%)と高確率で決めて、ハイスコアリングゲームで上回った。

試合序盤、ドンチッチは期待に応えるパフォーマンスを見せる。ドライブで簡単にリムまで到達して最初の得点を奪い、体重を落とした効果でクイックネスが増し、ブロックショットも披露した。

だが、ポーランドのディフェンスはすぐそれを阻み始める。ミハル・ソコロウスキがドンチッチを密着マークし、ドンチッチが外にいる間はマンマークで対応し、ドライブを仕掛ければ瞬時にダブルチームを仕掛ける。ドンチッチに前半だけで17得点を奪われたものの、2ポイントシュートは2本しか打たせなかった。

前半を終えて47-46とポーランドがリード。それでも点差以上にポーランド優勢の印象で、守備ではドンチッチにストレスを与えつつ、攻めに転じればハイペースの展開を作り出し、クロックが残っていても打てると見れば躊躇せずにシュートを放って、自分たちのリズムでプレーした。

ポーランドはドンチッチに対して過度に人数はかけなくても、意識は常にドンチッチに向いていて、ドンチッチを経由しない攻めは想定外で対応が遅れていた。しかし、スロベニアはドンチッチが起点であり主体のスタイルを変えず、相手の弱みを突く柔軟性を発揮できなかった。

後半開始早々、ポーランドの思い切りの良いシュートが次々と決まる一方で自分たちのプレーが噛み合わず、そこにファウルの笛が鳴らないことも加わり、ドンチッチが判定に文句を言ってテクニカルファウルを取られる。ここでのドンチッチは笑顔を見せる余裕があったが、その直後に今度はベンチがテクニカルファウルを取られ、これで点差は2桁に。この試合はポーランド南部のカトヴィツェで行われており、満員の観客の大多数がポーランドファン。その熱気と盛り上がりがスロベニアに焦りを生み出した。

ドンチッチは33得点を記録したが、その約半分の17得点はフリースローによるもの。ソコロウスキがファウルアウトになった後も徹底マークは変わらず、ドンチッチは常にストレスを抱えながらプレーすることになった。

『助っ人』ジョーダン・ロイドが32得点「実感がない」

ドンチッチは徹底的なマークに苦戦しながらも得点は重ねていたし、9アシストと上々のプレーメークを見せていたのだが、周囲の選手がチャンスを生かせなかった。これまでスロベニアの強みはドンチッチの存在に加えて、彼の生み出すプレーを結果に結び付けるチームメートの貢献にあった。しかし、ゴラン・ドラギッチは引退し、ドンチッチを支える他の選手たちも軒並みベテランの域に入り、ドンチッチの作り出すシュートチャンスを決められなくなっている。最も頼りになるはずのクレメン・プレペリッチは3ポイントシュート8本中2本成功と不発に終わった。

一方、ポーランドではジョーダン・ロイドが3ポイントシュート8本中7本成功の32得点と大活躍。シカゴで生まれ育ったロイドは2016年のNBAドラフトで指名を受けられず、Dリーグでのプレーを経てヨーロッパへ渡った。2018-19シーズンのラプターズでNBAデビューを果たしたが、出場は12試合のみ。現在はモナコ所属で、今月になってポーランドのパスポートを取得して代表チームに加わったばかりだ。

ユーロバスケットのデビュー戦で32得点は大会史上4番目の記録だ。試合後の会見でロイドは「記録のことは知らなかった。偉大な選手がプレーしてきた大会だから、すごいことだと思うけど、実感がない」と語る。「自分の力を示すことができて良かったけど、まだたった1試合だからね。僕は活躍しても騒がないし、逆に調子が悪くてもそれほど落ち込まない。でも、チームが勝てたのはうれしいよ」

「ドンチッチは世界最高の選手の一人だ。僕は彼のこれまでの功績に敬意を持っているし、彼と同じコートに立つことを光栄に思う。でも、対戦相手として負けたくはなかった。この試合を前に、誰もが彼に注目し、彼の話をしていた。僕らはそれをモチベーションに変えて、リスペクトを自分たちの手で勝ち取ろうとした」

ドンチッチ対策は完璧に機能したし、ロイドを始めポーランドのシュートタッチは最高に良かった。ホームの大歓声もチームを後押しした。ギリシャやスペインと強豪揃いのグループCを勝ち抜くべく、ポーランドは最高のスタートを切った。