中村拓人

広島ドラゴンフライズで2023-24シーズンのリーグ優勝や昨シーズンの東アジアスーパーリーグ(EASL)制覇に大きく貢献した中村拓人は、群馬クレインサンダーズへ移籍することを決断した。オフの間にはBリーグ選抜『B.LEAGUE UNITED』で海外チームとの対戦を経験し、よりパワーアップして新シーズンに備えている中村に、新天地での展望を聞いた。

「アメリカのレベルの高さにびっくりした」

──昨シーズン、成長を感じた点と見えた課題を教えてください。

得点を取りにいくことは任せてもらっていたので、一段階レベルアップできたと感じています。自由にやらせてもらった中で、スキルだけでなくバスケットに対する姿勢の面でも成長できました。課題はシーズンを通してパフォーマンスを安定させること。少し波があったので、それをできるだけ乗り越えることが大事ですね。

────オフェンスだけでなく、ディフェンスの貢献も大きかったと思いますが、自身の評価はどうでしょうか?

ディフェンスはずっと自分の強みの1つだったので、スタンダードを高くしてやっていたつもりでした。ただディフェンスを意識しすぎた結果、体力面を含めたいろいろな原因でオフェンスがうまくいかないこともあったので、今シーズンはその部分を改善していきたいです。

──オフには『Bリーグユナイテッド』の一員として、オーストラリアのNBL選抜との試合やアメリカ遠征を経験しました。参加してどうでしたか?

とても貴重な経験になりました。純粋に「世界は広いな」と感じました(笑)。今の自分の実力を知る機会にもなりましたし、今まで自分が経験してきた枠をさらに超える体験ができました。

──昨シーズンは、EASLや日本代表でアジアの選手と対戦する機会はありましたが、アジア圏の選手とはまた違ったものを感じられましたか?

全然違いましたね(笑)。もちろんレベルの高さは当然ですが、1つひとつのコンタクトの強さも違いましたし、サイズもみんな大きくてコートが狭く感じました。そういった感覚は今まで経験したことがないものでした。

──そういった経験から得られたものはありますか?

対峙してすごいと感じたのは、シンプルなプレーを正確にやり切ること。バスケットボールにおいて1番必要なことだと思いました。フェイク1つを見ても動きの違いを感じましたし、コンテスト(シュートへの妨害)がなかったら迷わずにシュートを打つことなど、他にも見習うべき点がありました。

──NBL選抜戦で中村選手がマッチアップした選手は、Bリーグにいる外国籍ガードとはタイプが違って、技巧派でしたね。その中でも中村選手は十分なインパクトを残したと思います。

ベテランだったので、マッチアップしてすごい勉強になりましたし、落ち着いているなと感じました。NBL選抜との試合は100%の出来ではなかったですが、自分なりに良いパフォーマンスができたと思っています。

──アメリカ遠征は、NBA入りを目指す選手がメインのサマーリーグ参戦チームとの対戦でしたが、NBL選抜と違いはありましたか?

正直、アメリカのレベルの高さにビックリしました。ただ、試合をこなしていく中で慣れていく部分もあったので、ポジティブな手応えもありました。あれを経験できたこと自分のモチベーションアップにも繋がりましたね。

中村拓人

ペイントエリアに切り込める選手を目指して

──プロ3年目で初の移籍となりましたが、決め手はなんでしょうか?

日本代表でプレーしたい気持ちもありますし、より成長できる環境に身を置きたかったのが1番の理由です。移籍先を探す中で、広島で一緒にやっていたカイル(ミリングヘッドコーチ)とプレーできる群馬が僕にとって1番良い場所だと感じて決めました。

──日本代表という言葉が出ましたが、アジアカップの候補選手リストには名前が載ったものの、最終的に合宿に呼ばれませんでした。代表でプレーしたいという気持ちは強いですか?

日本代表のユニフォームを着るのは特別なことなので、それは1つの目標にしています。今回、声が掛からなかったことで現状の自分のレベルを痛感しました。非常に悔しい気持ちはありますが、それと同時に成長しなくてはいけない部分が明らかになったかなと。それを群馬で発揮できれば、自ずと代表に繋がっていくと思うので、まずは群馬で自分の存在価値を証明していきたいです。

──代表に繋げる、というところを踏まえて、群馬ではどんなプレーをしたいですか?

代表に選ばれるためには、ゲームのコントロールはもちろん、よりリングにアタックしていくことも必要だと思います。アウトサイドシュートの確率も大事ですが、それよりもペイントエリアに切り込んでいける選手が求められています。ガードとしては割とサイズがあるほうだと思っているので、そこをいかにアドバンテージにしていけるかも課題の一つですね。