同じ1988年生まれの篠山竜青橋本竜馬、湊谷安玲久司朱が立ち上げた『88 Basketball』。その活動の一環として、昨年1月に発生した能登半島地震と昨年9月の能登半島豪雨により被災した地域を訪問し、6月28日には石川県在住の子供たちを対象にしたクリニック『88 SMILE in Noto』を開催した。

被災の傷跡が残る地域を訪問し、活動の継続を誓う

『88 SMILE in Noto』前日の6月27日に石川県に入った3人は、このイベントの協力団体で3×3チーム『ECHAKE-NA NOTO』の谷遼典代表と、地元出身の選手として活動する池田智美の案内を受けて被災地を訪問。道中では倒壊した建物や、崩れたままの道路など、復旧の進んでいない地域もいまだ点在しており、輪島朝市で賑わった地区は火災で焼失し、現在は更地となっている。池田が見せた震災前の朝市の写真と照らし合わせ、目の前に広がる景色との違いに3人は唖然とした。

奥能登を代表する景勝地として知られている白米千枚田も被災の爪痕がいまだ残り、3人はここでも惨状を目の当たりにすることに。最後に移動した輪島市郊外の南志見地区は被害が最も大きく、8から9割の建物で解体が必要とされている。

この現状を目の当たりにして橋本は「実際に足を運んだことで、能登の現状を生で見ることができて良かった。普段通る道が崩落したままだったり、日常的なところでまだまだ復旧していなくて、生活にまだ不便さがあることが分かりました。自分たちに何ができるのかを考える機会になりました」と語り、湊谷も「あらためて『88 Basketball』はこういった活動を継続的にしていかなければいけないと感じました。『88 Basketball』は今後も復興支援活動をしていきたい」と活動の継続を誓った。

「たくさんの笑顔が見られてうれしかったです」

6月28日の『88 SMILE in Noto』には、開催地の輪島市だけでなく珠洲市、志賀町、金沢市など石川県各地から約50人の子供たちが参加した。午前のトークショーでは「フリースローを打つ時に何を考えていますか? どうしたら上手くなりますか?」など多くの質問が飛び交う中、「バスケ人生で一番良いプレーは?」という質問に、篠山が日本代表での得点を挙げる一方で、橋本は「けん玉を成功させたこと」と答え、篠山から「バスケじゃない」とツッコまれる笑いの絶えない場となった。

ランチタイムは輪島市に店舗のある『ゴーゴーカレー』のカツカレーを全員で一緒に。食事を終えると子供たちは橋本とシューティング対決をしたり、篠山に似顔絵をプレゼントしたり、試合前に篠山がルーティーンとして行うストレッチを真似したりと、選手と子供たちによる和気藹々とした交流の時間となった。

午後には『ECHAKE-NA NOTO』の池田智美、上瀧葵怜々、辰巳緒花が加わってバスケットボールクリニックを実施。インストラクター資格を持つ池田が主導して音楽に合わせたスポーツリズムトレーニングで身体をほぐすと、続いて篠山がそのトレーニングを応用して緩急をつけたドリブル練習を披露した。最後に子供たちとの試合が実施され、3ポイントシュートが決まると会場から大きな歓声が上がるなど、子供たちの笑顔が絶えないイベントとなった。

イベントを終えて篠山はこう語った。「クラウドファンディングにご協力いただいた皆様のおかげで、能登に来ることができました。メディアでは知ることのできない現実に、自分の目で直接見ることの大切さを感じました。トークショーとクリニックでは子供たちのたくさんの笑顔が見られてうれしかったです。このご縁を大切に、この一回ではなく、引き続き能登の皆さんとの絆を深めていけたらと思います。ご協力していただいた『ECHAKE-NA NOTO』の皆さん、オーナーの谷さんにあらためて感謝しています」

88 SMILE in Noto
日時:2025年6月28日
会場:日本航空高等学校石川
講師:篠山竜青(川崎ブレイブサンダース)、橋本竜馬(ベルテックス静岡)、湊谷安玲久司朱(元・横浜ビー・コルセアーズ)
ゲスト選手:池田智美、橋田幸華、上瀧葵怜々、辰巳緒花(ECHAKE-NA NOTO)
協力:ECHAKE-NA NOTO