前日に引き分けた相手を攻守で圧倒し快勝
7月4日、バスケットボール女子日本代表はデンマーク代表との強化試合2戦目を実施した。前日の初戦は65-65の引き分けとなった相手に89-55と圧勝し、13日から始まるFIBA女子アジアカップ2025に弾みをつけた。
日本代表は成功率26.5%に終わった初戦とは打って変わって立ち上がりから3ポイントシュートが好調。第1クォーターで11本中8本成功と爆発することで30-16とリードを奪う。これで試合の主導権を完全につかんだ日本代表は、激しいディフェンスからのトランジションで得点を量産して圧勝した。
コーリー・ゲインズヘッドコーチは、「昨日はミスが多かったですが、今日は修正できました。私の求めているペースで展開し、流れをつかみました。今日は日本らしいバスケットボールができました」と試合を振り返る。
低調な出来で引き分けた昨日の試合についても「新しいチームを作り上げるには長いプロセスが必要で、今は我慢の時期です。その中で、昨日みたいな試合が起こるのは当たり前です」と語る。そして、「ここでしっかりと学べるかが大事です。」と前日から修正してパフォーマンスを上げた選手たちを称えた。
女子日本代表は試合全体で3ポイントシュート成功率40%を記録したが、ゴール下への積極的なアタックでディフェンスを収縮させたことが要因となった。そのインサイドアタックの中心となったのは、11得点7リバウンドを記録した渡嘉敷来夢だ。ゲーム1の渡嘉敷はアウトサイドでのスクリーナー、パスの中継役となる場面が多かったが、第2戦では前日は0本だったフリースロー試投数の7本が示すように自ら仕掛けていくプレーが光った。
「失敗を恐れず積極的に行くことができました」
渡嘉敷は「あまり良くなかった昨日の試合から修正できたことは収穫になります。昨日に比べて良いゲーム展開でした」と振り返る。
前日からのプレーの変化は、指揮官のメッセージがきっかけになっていた。「まだチームとして日が浅いこともあり、状況に関係なくコールされたプレーをやる傾向があります。昨日はそれが悪い方向に出ていました。試合後、コーリーから『もっとアグレッシブなところを出してほしい』と言われました。これからもアグレッシブに行きたいです」
また、チームとしても、「昨日は全体としてタフなシュートを打つ状況が多かったです。その理由として、今までと比べてパスが少なかったのがデータとして出ていました」という課題をしっかりと修正。試合を通して受け身にならず強気で攻めることができたと手応えを語る。「今ここでトライしておかないと、アジアカップに行ったとして上手くいくわけがない。今日は失敗を恐れず積極的に行くことができました」
これで日本代表はアジアカップ前の実戦をすべて終えた。ゲインズ体制がスタートしてから約2カ月、いまだチーム作りの途中だが、その中でも1試合と2試合目の違いが見せるように、チームは確実に進歩している。渡嘉敷が「しっかりとコミュニケーションを取れることが、プレー面でも良い方向に繋がっています。自分も意識していますし、若い子たちもしゃべってくれるのでそこは必ず日本にとってプラスになる部分です」と語るように、ベテランと若手の意志の疎通がしっかりと取れているのは頼もしい。
日本代表の武器は3ポイントシュートだが、ゲインズは「たとえシュートが入らなくても、日本らしさを出せればどんな試合でも勝つ自信があります」と力強く語る。この『日本らしさ』とは、激しいディフェンスからのスピードに乗った攻めなど、常に自分たちから仕掛けてイニシアチブを取ること。アジアカップでは特にこの点に注目していきたい。
7月7日、アジアカップに参加する12名のメンバーが発表され、渡嘉敷もそこに名を連ねた。FIBAの国際大会は2022年のワールドカップ以来の出場となるが、この時はチームスタイルに上手くフィットできず不完全燃焼に終わっている。日本代表がアジア女王に返り咲くためには、渡嘉敷の本領発揮が欠かせない。