「あとはチームとして引き続き成長し続けるだけ」

ジェームズ・ハーデン退団から3シーズン、再建が難航して下位に沈み続けたロケッツは、2023年秋にイメイ・ユドカをヘッドコーチに迎えたことが転機となり、上昇気流に乗った。就任会見で「カルチャーを変え、環境を変える」と宣言した彼は、その言葉通りにチームを変えていった。就任1年目はプレーオフ進出こそ逃したが41勝41敗と勝率を5割に乗せ、2年目の今シーズンは52勝を挙げてプレーオフへ進んだ。

ファーストラウンドでウォリアーズ相手に『GAME7』で敗退した後、ユドカは「チームの出来には満足している」と語った。「私がこのチームに来た時点で、選手たちは競争心、過小評価を覆したいというメンタルを持っていた。勝てていないチームに最も必要な要素は最初からあった。それからお互いを高め合い、スキル、IQを高めてきて、今は飛躍の基盤が整ったと感じている。選手たちは成長し、自信を持ち、競争心をさらに高めている。あとはチームとして引き続き成長し続けるだけだ」

ニックスはカンファレンスファイナルで敗退した後にトム・シボドーの解任を決め、後任のヘッドコーチを探している。そこで真っ先に目を付けたのがユドカで、ロケッツに面談の許可を求めたが、ロケッツはそれを拒否したという。

すでにセルティックスで結果を残し、今も結果を残しつつあるユドカをロケッツが手放すはずはない。ニックスからの『関心』がロケッツを動かしたのか、契約がまだ2年残っているにもかかわらず、ロケッツは新たな契約をユドカに提示し、両者は契約延長に合意した。

これを最初に報じた『ESPN』のシャムス・チャラニアによれば、この新契約でユドカの年俸は大幅に上がり、「リーグで最も高額な年俸を受け取るコーチの一人」になったという。

前任のスティーブン・サイラスは、ポテンシャルを秘めた若い選手たちの良き指南役だったが、チームを勝たせる厳しさを欠いた。ロケッツは現行のロスターに十分な自信を持ちながらも、トレードで一気に戦力をアップさせる方向性も探っている。それがどうなるにせよ、ユドカの長期政権下でのロケッツは、ハーデン時代よりも優勝が期待できるチームになりつつある。