テレンス・シャノンJr.

シェイ・ギルジャス・アレクサンダーを抑え込んで完勝

アジャストが最も重要というわけではない。エネルギーを注ぐことが重要なんだ」とアンソニー・エドワーズは言った。その言葉通り、第1クォーターで16得点を挙げた彼に牽引されたティンバーウルブズは、最初の12分間で34-14とサンダーを圧倒した。シェイ・ギルジャス・アレクサンダーを2得点、ジェイレン・ウィリアムズを無得点に抑える執拗なディフェンスの一角も担い、完璧なプレーを見せた。

敵地での最初の2試合はいずれも完敗。MVPのシェイを擁し、戦力が質も量も充実するサンダーには歯が立たないかと思われたが、ミネソタに舞台を移しての第3戦は全く異なる試合展開が待っていた。

試合の48分間には好不調の波があるもので、エドワーズが第1クォーターを12分間フル出場し、3ポイントシュートが46.2%と高確率で決まっていたウルブズは、ペースを落とすと予想された。しかし、ここでも予想は裏切られる。第2クォーターの頭から投入されたテレンス・シャノンJr.が、約4分間で9得点を奪う大仕事をやってのけた。サンダーのセカンドユニットが劣勢を覆すだけのエネルギーを出せない中で、全く警戒されていない隙を突くシャノンJr.の活躍で第2クォーターもウルブズのペースが続く。前半を終えて72-41と大量リードのウルブズは後半も隙を見せず、最終スコア143-101の大勝を収めた。

「第2クォーターの頭から行くから準備しておけと言われていた。いつも通りのことさ。僕はいつだって準備を整えて、良きチームメートであろうとしている。名前が呼ばれたら、やるべき仕事をやるだけだ」

シャノンJr.はそう語るが、『いつも通り』というわけではない。ルーキーの彼はレギュラーシーズンでは32試合に出場しただけで、プレータイムは10.6分。プレーオフではこれまで12試合中6試合の出場、プレータイムは平均3.3分へと落ち込み、これまで得点は6しかなかった。それでも、短い時間でも積極的にドライブで攻撃の起点となるプレーは『いつも通り』だった。

ナズ・リードの称賛「毎日の練習に大喜びで来る」

「リムにアタックしてペイントエリアに入る。オープンショットは迷わずに打ち切る。それが僕にとっての『自分らしいプレー』なんだ」とシャノンJr.は言う。

「先発したメンバーが素晴らしいエネルギーを発揮して流れを作ってくれていたから、僕は正直それに便乗するだけで良かった。複雑なことは考えない。自分らしくプレーしてベストを尽くすだけ。今までもこれからも、それが僕のやり方なんだ」

試合後の会見に同席したナズ・リードは、ポジションは違えどベンチからチームに勢いを与える役割を果たしたシャノンJr.をこんな言葉で称賛する。「いつも元気で、決して落ち込んだり慌てたりしない。毎日の練習に大喜びで来るし、練習中もいつも楽しそうだ。彼を見ていると、こちらも楽しい気分になれる。そんな彼が今日のように大活躍するのは鳥肌モノだよ」

プレータイム確保に苦しむ立場であっても、シャノンJr.は一度も腐らなかった。「これだけすごいチームに入って、プレータイムを得るのが簡単じゃないのは最初から分かっていたから、苦労だと思ったことはない。だから毎日笑顔で練習に励んで、まずはこのチームを応援する良きチームメートであろうとした。時間はたっぷりあるし、努力していれば必ずチャンスは来る。その時のために備えておこうとした」

そう語る彼を見ながら微笑むリードは、「これは正しい方向への第一歩だ」と語る。「まだまだ先は長い。やるべきことはたくさんあるよ」