栃木の反撃を断ち切る会心のブロックショット
アルバルク東京は栃木ブレックスとの東地区上位対決を1勝1敗で終えた。第2戦はディフェンスを持ち味とする両チームの真骨頂とも呼ぶべき展開となり、A東京が60-56で息詰まるロースコアゲームを制した。このギリギリの勝負を決したのは『守』の部分だった。
栃木が1点ビハインドで迎えた最終クォーター残り4秒の場面、遠藤祐亮のドライビングレイアップをアレックス・カークが叩き落とす。その後はポゼッションを獲得したA東京がファウルゲームを乗り切った。
カークは「相手はファウルを誘う感じもあった」と、その場面を冷静に振り返る。「ジェフ(ギブス)に付いていたけど、そこは僕がヘルプする場所だったから、上に放った感じのところで良いブロックができたよ」
勝敗を決定づける会心のブロックショットに、「心の中で『よっしゃ!』と思ったよ」と明かしたカークだったが、試合時間はわずかながら残されており、最後まで油断なく試合終了のブザーを待った。
カークは第1クォーターに10得点を挙げ、A東京に試合序盤の流れを呼び込み、最終的に15得点15リバウンドのダブル・ダブルを記録した。この15リバウンドはゲームハイの数字。オフェンスリバウンドに強みを持つ栃木が相手だけに、カークがディフェンスリバウンドをしっかりと確保したことは数字以上の重みがある。
またラストシーンのようにヘルプディフェンスで他の選手にも目を光らせつつ、ギブスを前日の23得点から13得点に封じたことも勝敗に大きく影響した。カークも「そこを抑えないと勝てないと思っていた。昨日もそんなに悪いディフェンスではなかったが、中心選手だし、僕がマッチアップする上で仕事をさせたくなかった」と語る。
「どの選手も自分の役割を持っている」
カークはレギュラーシーズンここまで55試合のうち54試合に先発で出場し、平均32.2分間プレーしている。常にフレッシュな状態を保つタイムシェアをするA東京において、唯一プレータイムが30分を超える『大黒柱』だ。さらには3ポイントシュートを打てるシュートレンジを持ち、高さと速さも兼ね備えているが、「ロールからのダンク、リバウンド、ディフェンスが主な仕事」と、自分の役割を認識している。
何度もガード陣にスクリーンをかけ、適切なポジショニングをする、あくまでチームプレーを優先しながらも平均17.5得点を挙げているのだから、A東京にとっては頼もしい存在だ。
カークは周りの日本人選手への信頼を口にしつつ、自らが得点に特化しないでもいいシステムが、チームの強みと主張する。
「我々には能力の高い日本人選手がいて、チームのシステムがある。他のチームの外国籍選手のように40得点とか派手な数字は出ないと思うが、地味な形でも勝利に貢献できる。どの選手も自分の役割を持っているので、その役割をきっちり当てはめていけば、今回のように勝てるんだ」
「このスタイルでやれば必ず勝ち続けられる」という自信
カークが地味な選手だとは思わないが、そうしたセルフィッシュとは無縁のスタイルがカークの一番の特長とも言える。外国籍選手の多くは我が強く、個で打開する印象が多い。だが、カークがそうした選手と一線を画すのは、チームプレーの強みを誰よりも理解しているからだ。
「他の外国籍選手と僕のプレースタイルは違う。周りに良い日本人選手もいるし、チームが必要とする部分で僕はプレーしている。単発で40点とか爆発的な選手もいるけど、そういうのは長続きしないと思うんだ。シーズンは長いし、プレーオフを見据えれば、このスタイルでやれば必ず勝ち続けられるよ」
カークがそう自信を持って言うように、A東京はすでにチャンピオンシップ進出を決めている。レギュラーシーズンは残り5試合、チームファーストなカークに支えられ、A東京は安定感抜群なパフォーマンスを続ける。
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