ゴラン・ドラギッチ

写真=Getty Images

母国を代表する2人に約2000人の大応援団がエール

NBA1年目から驚くべき適応力を発揮し、2018-19シーズンの新人王候補と言われるルカ・ドンチッチにとって、3月28日にアメリカンエアラインズ・アリーナで行われたヒート戦は、これまでに経験したどの試合とも違った。

母国スロベニアの先輩ゴラン・ドラギッチとの初対戦ということもあって、「自分のキャリアで試合前に緊張したのは今日が初めて。これまでとは異なる試合。ゴランと対戦するのは初めてだった。彼は、自分に大きな影響を与えてくれた人だし、ユーロバスケットでも一緒に戦って、色々と教えてもらった。彼は特別な人。とても謙虚だしね」と、ドンチッチは試合後にコメントした。この一戦を観戦するため、約2000人の大応援団もスロベニアからマイアミに駆けつけた。

この試合は、スロベニアのファンにとっても意味のあるものだった。現在NBAでプレーするスロベニア出身選手は、マーベリックスのドンチッチとヒートのドラギッチのみで、彼らは母国を代表する2選手でもある。ユーロバスケット2017優勝の立役者2人が、世界最高峰のリーグで対戦する試合を見るため、ファンは遠く離れたスロベニアからアメリカまでやって来たのだ。

2000人という数は、スロベニアの人口の約0.1%に相当する。試合前から応援歌を合唱して試合を盛り上げた応援団の熱気は凄まじく、ヒート指揮官のエリック・スポールストラも「まるでリュブリャナ(スロベニアの首都)にいるかのようだった」と語ったほどだった。

ドラギッチは、23得点12リバウンド11アシストを記録し、キャリア2回目のトリプル・ダブルを達成。105-99での勝利に貢献し、ヒートは東カンファレンス8位に浮上した。一方のドンチッチは、「緊張した」というコメント通り、フィールドゴール18本中6本の成功に終わり、今シーズンのアベレージ(21.1得点)をわずかに下回る19得点だった。

応援団の中には、表にドンチッチとドラギッチのイラスト、裏には『Miami, 28.3.2019』とプリントされたお揃いの白いTシャツを着ていたファンが多数見られたのだが、『The Athletic』によれば、これはスロベニアのバスケットボール協会から配布されたものだという。

試合終了後、ドンチッチとドラギッチはジャージーを交換し、健闘を称え合った。また2人は、試合が終わっても会場に残った応援団の前に現れ、感謝の気持ちを伝えた。

『The Athletic』によれば、応援団の大半が試合翌日に帰国の途についたという。たった一夜の出来事だが、アメリカで戦うドンチッチとドラギッチにとっては、最高のエールになっただろう。母国のファンの声援を受け、彼らはこれからもNBAで邁進し続ける。