「五輪の時の気持ちが戻っていると言ったら嘘になります」
10月7日の開幕からここまではあっという間だった。Wリーグは今日からプレーオフ・ファイナルがスタート。リーグ8連覇中のJX-ENEOSサンフラワーズが、トヨタ自動車アンテロープスと対戦する。
JX-ENEOSのキャプテンである吉田亜沙美は、「ファイナルの舞台に立てることを本当にうれしく思っています。相手がどことか関係なく、自分たちのバスケをやることが優勝につながると思います」と優勝に向けた抱負を語る。
もっとも、吉田にとってリオ五輪後に迎えた今シーズンは簡単ではなかった。キャリアのすべてを懸けて臨んだオリンピックでの戦いを終え、新しい目標を見いだせないままのシーズンだった。「開幕するまでは不安でした。オリンピックを目標にずっとやってきて、それが終わった時に、モチベーションを上げていくのが難しかったので。ずっと不安に思いながら入ったシーズンでした」と、吉田は率直に語る。
「オリンピックの時の気持ちが戻っていると言ったら嘘になります。そこを意識的に変えていかなきゃいけないと思いながらのシーズンでした」
「オールジャパンで優勝して、次はリーグとなって、ようやく少しずつ気持ちが上がってきています。私はこのリーグでもう一度、自分の夢や目標を探したいと思っています。まだ探している途中なので」
「トムのバスケットに追い付き、追い越したい」
不安を抱えながらのプレーではあったが、吉田はポイントガードとして見事にチームを引っ張ってきた。JX-ENEOSはレギュラーシーズン27戦全勝。プレーオフに入っても全く危なげない戦いぶりで4連勝。ここまでの31勝のうち、最終スコアで2桁のリードを奪えなかったのはわずか1試合しかない。
昨シーズンのJX-ENEOSも圧倒的な強さを印象付けたが、それでもレギュラーシーズンには4敗を喫していた。8連覇中の過去と比べても、今シーズンのJXには隙がない。
吉田を始め、間宮佑圭と渡嘉敷来夢の『リオ組の主力』がチームを盤石に支えていることに加え、宮澤夕貴が五輪を経てシューターとして覚醒。セカンドユニットも含め、戦力は他を圧倒する充実ぶりを誇る。ただ、JXの『隙のなさ』を支えているのはヘッドコーチのトム・ホーバスだ。リオ五輪では内海知秀のアシスタントを務めたホーバスは、今シーズンからJX-ENEOSのヘッドコーチに。『女王』に刺激を与え続け、緩みのないバスケを展開させてきた。
吉田は言う。「セミファイナルは良いバスケができたんですけど、ロッカールームに戻ったらトムが『もっとできるよ』と。みんな満足せずに高い目標を持っています。トムが高い期待を私たちにしてくれている、それをプレーで返したいです」
そのトム・ホーバスと一緒にバスケをするのはこのファイナルが最後となる。女子日本代表ヘッドコーチ就任が決まったことで、JX-ENEOSを率いるのは今季限りとなったからだ。この監督人事が決まってから、吉田は「トムのバスケットに追い付き、追い越したい」という目標を見いだした。
「トムのためにも優勝したい。ファイナルの舞台でトムのバスケットをしたい。私たちに教えてくれたことをコートで表現することが、トムに対する恩返しだと思っています。そういう意味ではすごく熱くなっています」と吉田は言う。
「ホントに一番は『トムのために』ですね」。今日から始まるファイナルでは、トム・ホーバスと一緒に作り上げたバスケットの集大成が見られるだろう。モチベーションを見いだした吉田は、強い。
U-NEXTでB1リーグ全試合が無料トライアルで楽しめる
【PR】バスケット・カウントご覧の皆様に!U-NEXTでB1リーグ全試合が無料トライアルで楽しめる
「U-NEXT」では、B1リーグ戦の全720試合を見放題ライブ配信!
31日間無料の無料トライアルで今すぐ楽しめる。
無料トライアル期間終了後は毎月1,200ポイント(1,200円相当)が付与されるので
実質989円(税込)で日本最高峰のバスケが堪能できる。