文=鈴木健一郎 写真=FIBA.com
「自信を持ってやっているのが一番です」
「パスは考えず、点を取ることに集中しました。守備も最低限のルールを守りつつ、攻撃に集中しました」と、比江島慎は97-89で勝利したイラン戦を振り返る。大事な立ち上がり、ニック・ファジーカスがワイドに動くことで空いたインサイドを、比江島は果敢に狙った。体格に勝る相手にも臆せずに仕掛け、得点を重ねていく。
渡邊雄太と八村塁が不在で「ニックのマークが厳しくなるのは分かっていた。自分しかいないというか。チーム全体でも自分を攻撃に集中させる環境を作ってくれた」と強い覚悟があった。
立ち上がりは比江島がアタックし、ファジーカスはその後で調子を上げてきた。イランの懸命の追い上げを浴びた終盤も、この2人が得点を挙げてリードを保ち続けた。「やっぱりニックが入ってくれて、苦しい時間に中に入れられるところあるし、それにつられてゴールにアタックスする気持ちが出てきている。自信を持ってやっているのが一番です」と比江島は言う。
「自分だけではなくなったし、ニックがいると自分に対してマークが厳しくなくなる。外でも確率良く決められている」
予選11試合すべてに出場している比江島は、ここまでの予選での自己最多を塗り替える24得点をマーク。フィールドゴール成功率69.2%(13本中9本成功)、さらには6アシストと結果を出した。今シーズンはオーストラリアリーグに挑戦。結果を残せず帰国したが、得たものは間違いなくあった。それを証明したこの試合での積極性、得点数だった。