開幕前からハンドラーとして卓越した能力を披露

プレシーズンゲームは勝ち負けにこだわらず、各選手がコンディションを調整し、チームが様々なテストをする場だ。立場が安泰でない選手はここでアピールしてキャリアを築こうと必死になるが、主力の座を確保した選手にとってはあくまで調整の場。プレーの強度は低く、出場しない場合も少なくない。

レイカーズはここまで3試合を戦ったが、レブロン・ジェームズは1試合にしか出場していない。彼ほどのベテランとなると、それで批判を受けることはない。指揮官ダービン・ハムも「試合には出ていないが、彼は自分を大切にし、しっかりとトレーニングしている。ただ試合に出るんじゃなく最高の状態でプレーしようとしている」と全幅の信頼を寄せている。

2勝1敗という結果にではなく、ここまでのチームのアプローチに指揮官ハムは満足している。「正しいメンタリティを持って自分の役割をこなすことが大事だと選手たちには話した。ベテランは最初からそうしてくれたし、若手もそのメッセージを受け入れて成長している。物事は常に完璧とはいかないが、ベストを尽くそうと努力し続けていれば必ず成果は出るものだ」

そんなレイカーズで、ここまで3試合すべてに先発出場しているのがディアンジェロ・ラッセルだ。昨シーズン途中にレイカーズに復帰したポイントガードは、NBA9年目を迎えるベテランでありながら誰よりもエナジーを出してコートに立っている。

愛するレイカーズに戻ってメインのポイントガードを任されていることが、ラッセルにとっては大きなモチベーションになっている。「良いグループになっている。みんなチャンスを生かそうと一生懸命だ。それに僕らは相性も良い。僕はこのチームのみんなが好きだし、それは試合のプレーにも出てくると思う。良い選手が揃っていて選手層も厚いし、試合のたびに誰が活躍してもおかしくない。全く限界を感じないね」

ここまでの3試合、ラッセルはピック＆ロールを起点とし、相手ディフェンスの対応を冷静に読み取ってチャンスを作りだしている。彼以外に攻撃の起点となるレブロンとリーブスが不在がちだからこそ、ボールハンドラーとしてのラッセルの能力は際立っている。

「ラインナップは新しくなったけど、昨シーズン後半に一緒だった馴染みのあるメンバーがいるからプレーしやすいし、新加入の選手とも夏からずっとコートに立っているから、その選手が何を望み、どんなプレーを好むのかはある程度分かっている。自分のプレーだけじゃなく、どうすればみんなの持ち味を引き出せるかを考えているよ」とラッセルは言う。

指揮官ハムも、そんなラッセルを高く評価している。ピック＆ロールからのプレーメークとアシストはもちろん、ディフェンスでもハードワークし、仲間を助け、チームの連帯感を高める役割を先頭に立ってこなす姿勢を称賛し、「リーダーとして成長している」と語る。

レブロンとデイビスの二枚看板に加えて、スター選手へと成長しつつあるリーブス、チームに完全にフィットした八村塁、新加入で存在感を見せるゲイブ・ビンセントにトーリアン・プリンス、クリスチャン・ウッドなど駒は揃っているが、それを操るラッセルの好調ぶりが、レイカーズにとっては何よりの良いニュースだ。