スピードでかき乱し、3ポイントシュートとトランジションで勝負
ペリカンズのホセ・アルバラードがケガで欠場することとなり、プエルトリコのロスターにはNBAプレーヤーがいなくなりました。それでも、どんな相手にも堂々と立ち向かっていく熱いハートで戦うスタイルに陰りはなく、ワールドカップを盛り上げてくれるはずです。
長丁場となったワールドカップ予選12試合のうち、7試合以上プレーしたのは6人だけと、日替わりロスターになっていたプエルトリコは、1勝2敗と苦しいスタートを切り、2次リーグの2試合を消化した時点でも4勝4敗と厳しい状況でしたが、そこから4連勝でワールドカップ出場権を獲得しました。大接戦となったブラジル戦では同点の状況で放ったタフなミドルがブザービーターでリングに吸い込まれる劇的な勝利でした。
これらの結果だけでなく、マンマークの激しさや強気に打ち切るプエルトリコの戦い方そのものが、観客の魂を揺さぶる熱さに満ち溢れています。6試合に出場し、平均17.5得点と大活躍したトレモント・ウォーターズは178cmの小さいガードですが、見事な緩急を使ったドライブや勝負どころで迷いなく打ち切る3ポイントシュート、そして小柄でも関係なくゴール下でファイトする選手です。ウォーターズ自身はアメリカで生まれ育った選手ですが、プエルトルコの遺伝子がそうさせるのか、小兵の力強さがチームを引っ張っています。
ガード中心のオフェンスということもあり、3ポイントシュートとトランジションがプエルトリコの持ち味で、スピードでかき乱す戦い方をしてきます。ディフェンスでも相手の隙を抜け目なく狙ってくるなど、ゆっくりとゲームを作ることを許しません。ロスター全体で見ればそこまで小さい選手ばかりではないものの、チームのカルチャーとして戦い方が染みついています。
今大会ではサイズのあるセルビアと中国、そして運動能力の高い南スーダンのいるグループBに入りました。自分たちとは異なる特徴を持つ2チームとの対戦は、高さをスピードで凌駕していくプエルトリコにとってはやりやすいはず。むしろ実力未知数ながら、アフリカらしい手足の長さを使ったプレーをしてくる南スーダンの方がやりにくいかもしれません。いずれにしてもプエルトリコは自分たちの戦い方を変えることなく、いかに自分たちのペースに持ち込むかが勝利へのキーポイントとなります。
NBAプレーヤーの人数で見れば日本の方が上であり、日本と同様に小さい選手が躍動するバスケットをしているプエルトリコですが、世界大会で勝利をもぎとってきた歴史があります。残念ながら沖縄には来ませんが、日本バスケにとって学ぶべきところが多いチームです。