「悔いの残らないように打っていく」で開志国際を撃破
12月26日のウインターカップ男子3回戦、桜丘はインターハイ王者の開志国際を89-75で撃破した。前半を38-41で試合を折り返した桜丘だが、第3クォーターに入ると攻守の素早い切り替えによる速攻など、徐々にイージーシュートを打てる場面を増やして中盤に勝ち越す。
それでもどちらに転ぶか分からない激戦において、チームに流れを引き寄せたのはエースの富永啓生だった。要所で3ポイントシュートを沈め、鋭いドライブなど多彩な得点パターンで45得点と爆発。また、この活躍により相手が富永へのマークを強めなければいけなくなったことで、他の選手たちが楽にシュートを打てるように。その結果、約14分の出場で9得点を挙げたベンチスタートの山本星矢など味方の好プレーを引き出し、まさに大黒柱に相応しい活躍だった。
「前半は相手がインターハイ優勝校ということで、自分たちにプレッシャーもありました。それがハーフタイムで、気にすることない、相手も自分たちと同じ高校生だろとみんなで言いました。そして強い気持ちをもって臨んだら、3ポイントシュートも入りだして自分たちの流れになりました」
このように富永は勝因について振り返る。そして自身のパフォーマンスについても「自分も最後の大会なので後半は、悔いの残らないようにシュートを打っていくと決めました」と強気のプレーが好循環をもたらしたと見ている。
開志国際のゴール下の柱であるジョフ・ユセフに仕事をさせなかったのも大きかった。「この組み合わせが決まってからずっと開志国際を想定した練習をしていた成果が出たと思います。留学生に対してトラップを仕掛け、そこからパスが外に出るのをローテーションで守ることです」(富永) と念入りに準備した対策が機能した。結果として、アウトサイドでもしっかりプレッシャーを掛けたことで、開志国際の3ポイントシュートは34本中8本成功に終わっている。
「得点には満足していません」と自己評価は厳しい
このウインターカップで1回戦、2回戦と36得点だったのが、インターハイ王者相手に大会ベストの45得点。しかし、本人は「シュート確率(36本中15本成功)も良くなかったですし、フリースローを落としてしまいました(14本中8本成功)。勝ったことには満足していますけど、得点には満足していません」と自己評価は厳しい。
彼自身も認識しているようにフィールドゴール成功率41.7%は決して高い数字ではない。しかし、富永の場合、少々タフな状況でも彼がシュートを打つことも大事な役割。彼が攻め続けることでマークを引きつけ、周りの選手がより積極的にプレーできる効果もある。そういった状況を考えれば、及第点と言える確率ではないのだろうか。
今夏に行われ、日本が5位に入賞したU18アジア選手権ではチームトップの平均19.3得点をマーク。世代トップのスコアラーという前評判に違わない実力を見せている富永だが、江﨑悟コーチにとっては予想通りの働き。「U18のアジア選手権では、オーストラリアなどアジアの強豪相手に日本代表メンバーで最も点数を取っていた子です。どこが相手でも関係ないです」
そして本人も、「試合を重ねることで緊張もほぐれてきて、シュートタッチも硬くならずに大会を通して良い感じになっています」と、さらなるハイパフォーマンスへの自信も見せる。
明日から大会もいよいよメインコートとなり、より大きな注目が集まる。そこで次代の日本バスケット界を担うスコアラーとして、富永がより大きな輝きを放つことができれば、桜丘の躍進はさらに続いていくはずだ。