「ファンがまたプレーするのを望んでくれているのは大きなこと」
ジョン・ウォールは苦難の時期を過ごしている。2018-19シーズン途中に左かかとの手術を行った後、自宅で転倒して左足のアキレス腱を断裂するアクシデントに見舞われた。
このケガのリハビリをしている間に、新型コロナウイルスのパンデミックが起こった。救世軍のボランティア活動に熱心だったウォールの母を偲んで行われたイベントで、コロナ禍の2年半を彼は「今までで一番暗い場所」と振り返り、「死のうと考えたこともある」と、自分の危機を赤裸々に語った。
「アキレス腱を切り、母を病気で失い、その1年後には祖母も亡くした。そのすべてが新型コロナウイルスの中で起きた。多くの人が、僕は助けなど必要としていないと思うだろうけど、僕はセラピストを探さなきゃならなかった。そうやって自分自身に正直になり、何がベストなのかを探ったんだ」
家族を亡くす悲しみは大きいものだった。「これを乗り越えられたら、人生のどんなことも乗り越えられると思う」と彼は言う。
もちろん、バスケ選手として復活できないもどかしい思いも、彼にとっては重いものだったのだろう。『チームの顔』だった彼は、ウィザーズとの行き違いから2020-21シーズン開幕直前にトレードを要求し、ラッセル・ウェストブルックと入れ替わりでロケッツに移ることに。そのロケッツは開幕早々にジェームズ・ハーデンが退団し、再建へと舵を切ることになってベテランのウォールの居場所がなくなってしまった。結局、そのシーズンは復活を予感させるパフォーマンスを見せたものの、昨シーズンはプレーせず。今オフにクリッパーズと2年契約を結び、ようやく再起の一歩を踏み出すことになる。
「僕にとって、自分が望む場所に戻って、ファンがまたプレーするのを望んでくれているのは大きなことなんだ。そのサポートには本当に大きな意味がある」。カワイ・レナードとポール・ジョージとともにプレーする今シーズン、31歳になったウォールは完全復活を期す。