野本建吾

機動力を生かしたハードワークで、チームを活性化することに期待

トム・ホーバスは男子日本代表の新ヘッドコーチに就任後、様々な選手を代表合宿に招集しているが、特に目立つのは200cm前後のビッグマンであり、それは多くの選手にチャンスがあることを示している。前から仕掛けるディフェンスで相手のターンオーバーを誘発し、アップテンポなバスケットボールを目指すホーバスの戦術において、ビッグマンであってもトランジションに参加できる機動力が重要となってくる。

こういった要因もあり、Window1の時からずっと代表に招集されているビッグマンの一人が野本建吾だ。「機動力はビッグマンの中ではあると思うので、オフェンスはスピードを使ってスクリーンをかけて、味方に3ポイントシュートを打たせるための最初のズレを作りたいです。ディフェンスでは激しくオールコートで仕掛けていくこともあるので、そういう時にはスピードを生かして積極的にスティールを狙ったり、ギアが1つ上がるきっかけを作りたいです」

このように自身のやるべきことを語る野本は、今回のWindow3の合宿で多くの若手が参加していることを聞かれると「若い選手はエナジーが溢れていて刺激を受けています。僕にはエナジーに加え、経験の部分を生かして彼らと競争していきたいです」と、好意的にとらえている。

また、ホーバスの代表では経験豊富で、年齢も上であることから「若い選手とコミュニケーションを取ることも多いです。例えば同じポジションの吉井(裕鷹)選手はともに関西の大阪出身で、オフコートで話すことも多いです」と、コート内外でチームワークの向上を図ることを意識する。

前述のようにWindow1からずっと代表活動に招集されている野本だが、試合の登録メンバーに入ったのは、ここまでWindow2のオーストラリア戦のみに留まっている。ただ、この唯一の出場した試合では、限られた出番の中で、積極的にゴール下へとアタックし、フリースローに繋げるなど存在感を示した。

「Window1から参加しているので、トムさんの求めているもの、代表のやりたいバスケットは他の選手よりも理解していると思います。そのアドバンテージを生かしたい。あとはBリーグですごい外国籍選手とマッチアップしてきたので、相手の弱みを熟知し、自分の強みを最大限に生かせる状況判断を大事にして取り組んでいきたいです」

明日のチャイニーズ・タイペイ戦、こう語る自身の強みを野本が発揮し、昨日のオーストラリア戦では積極性に欠けた日本のオフェンスを活性化してくれることに期待したい。