タウンズのディフェンスの穴を突き、ファウルトラブルを誘発できるか
7位に躍進を遂げたティンバーウルブズが優位なはずのプレーイン・トーナメントですが、シーズン終盤になってクリッパーズにはエースのポール・ジョージが戻ってきました。エース不在で5割と奮闘したチームに攻守に次元の違うプレーをするスーパースターが加わったとなれば、クリッパーズの方が優位に見えてきます。
昨シーズンのプレーオフではカワイ・レナードをケガで欠いてもチームをカンファレンス決勝へと導いたジョージの存在感は圧倒的です。かつては勝負どころの弱さも指摘されましたが、ファーストオプションとして点を取るだけでなく、アシストでチームメートにも勢いをもたらし、守ってもエースキラーとしてハイプレッシャーをかけ、リバウンダーとしてチームを支えもします。長期間の離脱でブランクを感じさせる面もありますが、緩急を使ったドライブにフィジカルな押し込み、得意のアウトサイドシュートと他の選手とはレベルの違うプレーを見せています。
ウルブズとしては何とかしてジョージを止めなければいけませんが、その役割はアンソニー・エドワーズに託されるでしょう。ドラフト前はディフェンスに大きな難のある選手でしたが、わずか2年で驚異的に成長し、スピードにもフィジカルにも高さにも対応するスペシャルなディフェンダーになってきました。爆発力はあれど不安定なオフェンスに比べると、むしろ『ディフェンスこそがエドワーズ最大の武器』と言いたくなるほど、相手に何もさせないディフェンス力を発揮します。
オフェンスはカール・アンソニー・タウンズがいるだけに、サイズのないクリッパーズ相手には優位に立てる要素が多く、エドワーズはディフェンスに集中する方が良いかもしれません。クリッパーズはどこかでスモールラインナップのカードを切ってくるでしょうが、結局はマンマークで守り切れば問題なく、今のエドワーズのディフェンスを考えると、ジョージと言えども崩すことは容易ではありません。
ただ、ウルブズのディフェンスは連携に大きな課題があります。特にタウンズ周辺でスイッチを誘導していけば、頻繁にコミュニケーションミスをしてくれます。フィジカルの強さはエドワーズの武器ですが、その分スクリナーをかわすのに苦労するだけに、いかにしてマークを外すかがクリッパーズにとって重要になります。
クリッパーズがもう1つ狙いたいのはタウンズのファウルトラブルです。今年の3ポイントシュートチャンピオンであり、ドライブもポストアップも何でもできるタウンズは『いるだけで怖い存在』ですが、高いオフェンススキルに反してディフェンスは雑なところがあり、簡単に手を出してファウルを重ねてしまいます。タウンズさえいなくなれば的を絞った守り方が可能になるだけに、積極的にアタックしていきたいところです。
1試合で決まるプレーインは緊張感のある試合展開になるだけに、経験値で上を行くクリッパーズの方が優位に見えてきます。ウルブズとしてはチーム力の戦いよりも、スーパースターの個人能力勝負に持ち込むことで勝機が広がってきます。ジョージというスーパースターを前にして、エドワーズとタウンズがプレーインの緊張感に負けずステップアップできるのかどうかが、ウルブズが勝つために必要なことになりそうです。