紆余曲折を経て「自分のプレーをして落ちたとしても、それでいいと思っている」
シュート力を武器とするガードとして長きに渡りコンスタントに活躍してきた三好南穂はリオ、東京と2大会連続でオリンピックに出場した。そして、今回もワールドカップ予選に臨む女子日本代表候補に選出された。
三好が「リーグでも調子が良くできているので、そこを落とさないようにやっています」と現在の心境を語ったように、ここまでの彼女は所属するトヨタ自動車アンテロープスで平均13.0得点、3ポイントシュート成功率52.3%と好調を維持している。
日本を指揮する恩塚亨は選手たちに『なりたい自分』を思い描くよう促している。三好は「トヨタでは点数を取る選手はたくさんいるので、彼女たちが取れなかったり、チームとして苦しい状況の時に自分が点を取ったり、守備で支えられる選手でありたい」と理想像について語った。それは代表でも同じで「苦しい時間帯にプレーで表現できる選手であれたら」と言う。
三好の最大の持ち味は正確な3ポイントシュートだ。東京オリンピック前に行われたポルトガルとの国際強化試合では2試合連続で4本の3ポイントシュートを沈めて、大会MVPを受賞した。三好も「強みは3ポイントシュートなので、3ポイントシュートを狙うのは変わらない」と語った。それでも、3ポイントシュートだけでは、林咲希を筆頭に優れたシューターが多数揃う代表争いを勝ち抜くことはままならない。三好もそれを理解しているからこそ、3ポイントシュートをメインにしつつより攻撃的なプレーを見せたいと言う。
「オリンピックではやっていなかったけど、リーグ戦でもプルアップジャンパーやピックを使っていたのでそれもチャレンジしてきたいですし、臨機応変に守備もやっていきたいです。でも3ポイントシュートが一番の強みなので、ドライブをするにしても、3ポイントシュートを軸にしてやっていきたい」
アジアカップに出場していない三好には『世界一のアジリティ』を目指す恩塚コーチのバスケットへのアジャストが必要となる。このアジリティは単なる速さだけでなく、判断の速さなども含まれているが、三好は「アジリティの部分で、ディフェンスを見てプレーを決めるのはトヨタでもやっているので、そこまで難しく考えすぎずにできている」と語り、早くも新しいバスケットに順応できているようだ。それでも「短い時間の中でどれだけのパフォーマンスができるかが求められるので、聞いていた以上にキツイです」と本音も漏らした。
現在の強化合宿には19名が参加しているが、試合のエントリーは12人となる。特にシューターの枠は競争が激しいが、三好は平常心でこの争いに臨んでいるという。「12人に入ったらチームの力になれたらいいと思います。自分のプレーをして落ちたとしても、今までのスタンス上それでいいと思っているので。気持ちが振り切ってやれているというか、そこまで焦りはなく余裕を持ってできています」
三好にとっての日本代表は代表候補止まりで主要大会の出場をあと一歩で逃すケースも少なくなかった。特に2018年のワールドカップでは、開催地スペインにまで帯同するも、そこからメンバー入りを逃して帰国する悔しさを味わっている。こうした競争を経て、平常心を保ち続けることがいかに大事かを理解した今の三好は、迷わず自分のやるべきことに打ち込めている。