塚本智裕

ゲームコントロールも担い、選手としてステップアップ

北陸学院にとって『2番』のユニフォームは特別な意味合いがある。なぜならこのユニフォームは、2016年、創部4年目にしてウインターカップ3位という好成績を挙げる原動力となった大倉颯太(現東海大3年)がまとったものだからだ。

強豪チームとしての土台を作り上げた彼の功績を称え、濱屋史篤コーチはこれを誰もが簡単に扱えるものにしたくないという思惑を持っていた。しかし、大倉が卒業して2年目の春、濱屋コーチは「この選手になら」と思える選手に出会う。それが今回紹介する2年生の塚本智裕だ。

塚本にとっても大倉は、高校バスケに触れた最初の年に心を奪われた、特別な存在。「1年生の時から、学年関係なく思いっきりハッスルしているところに、まずリスペクトでした」と振り返り、濱屋コーチから進学の誘いが届いたときは、二つ返事でこれを受け入れたという。「2番はまだ誰にも渡さないと聞いていましたが、濱屋先生が『塚本には渡したい』と言ってくださって、颯太さんもOKしてくれて。プレッシャーもあるんですけど、負けないように頑張っています」

中学時代は、正確なジャンプシュートが武器の点取り屋。北陸学院では1年の4月からベンチ入りし、コンスタントに出場時間を獲得してきたが、昨年のウインターカップ以降はゲームコントロールも担うようになった。

「最初はボールを運ぶのも指示を出すのも大変でしたが、徐々に運びながら点をとることの楽しさが分かってきた感じです」と塚本は手応えを語るが、「ドライブに行った後のキックアウトの判断や、ディフェンスがズレた時に行くか行かないかの判断が全然ダメ。プレッシャーをかけられた時のボールハンドリングもまだまだ」と課題には事欠かないよう。

しかし、179cmの身長で大学やそれ以降のプレーを見据える塚本にとって、ゲームメークの取得は必須と言っていい。「良くも悪くも何を考えているか分かりづらい」と濱屋コーチが笑うポーカーフェイスも、彼のパフォーマンスを助けてくれそうだ。

昨年のウインターカップは、大一番となった福岡第一戦で試合開始早々にファウルトラブルとなり、出場時間は4分程度に留まった。「去年活躍できなかった分、今年は自分の指示でチームを日本一に導きたい」と意気込む塚本の活躍が、今から楽しみだ。