セクー・ドゥムブヤ

兄貴分のモリスが予言「5年後のピストンズを背負う」

セクー・ドゥムブヤは昨年のNBAドラフト1巡目15位でピストンズに指名された。ギニア共和国の首都コナクリで生まれたドゥムブヤはフランスで育ち、14歳でフランスのプロクラブの育成組織に加入。15歳にしてプロ契約を結ぶとともに、U18フランス代表としてもプレー。ニックスのフランク・ニキリナと一緒にプレーしている。昨年のうちに19歳になることがドラフトの要件であり、現在のNBAプレーヤーで最も若い選手だ。

その彼はルーキーシーズン、38試合に出場。アメリカのバスケを経験していないため、最初の1年はGリーグで過ごす予定だったが、ブレイク・グリフィンとマーキーフ・モリスにケガが重なったことで得たチャンスを生かし、11月末にピストンズにコールアップされてデビューを飾る。出場38試合のうち19試合では先発も任された。

ピストンズは2月にアンドレ・ドラモンド、レジー・ジャクソン、モリスと主力を放出して早々にシーズンをあきらめたが、ドゥムブヤのような若手にとっては出場機会を得てアピールするチャンス。彼自身に好不調の波があり、プレータイムも長かったり短かったりと安定しなかったため大したスタッツは出ておらず(平均6.4得点、3.1リバウンド)、新型コロナウイルスの影響でシーズンは3月に打ち切られてしまったが、それでもポテンシャルの高さは十分に見せ付けた。

ヘッドコーチのドウェイン・ケーシーはドゥムブヤについて「私はこのチームの誰よりも彼に厳しく接してきた。彼にとってこのオフの成長がどれだけ重要か分かっているからだ。彼はすごい強度のトレーニングで身体を鍛えているよ」とチームの公式サイトに語っている。

技術的にはまだ未熟だし、NBAで戦うための身体も出来上がってはいない。それでもアスリート能力は素晴らしく、試合で得た経験をスポンジのように吸収して自分の力に変える頭の良さもある。NBAの酸いも甘いも知るデリック・ローズは「一番すごいのは誰とマッチアップしても怖がらないことだ。レブロン・ジェームズ、カワイ・レナード、ポール・ジョージ、ドレイモンド・グリーンにケビン・ラブ。次から次へとすごい選手が出てくるが、ドゥムブヤは相手の名前にビビらない。これには驚かされるよ」と語る。

レイカーズに移籍して優勝リングを勝ち取ったマーキーフ・モリスは、ドゥムブヤにとってアメリカで初めての『兄貴分』だった。そのモリスは以前、「今に分かるだろうけど、5年後にピストンズを背負っているのはセクーだよ」とコメントしている。

ピストンズはブレイク・グリフィン、デリック・ローズとビッグネームを抱えている。ケガの不安はあるが、彼らがシーズンを通して良好なコンディションを維持できれば、再びプレーオフに返り咲くことはできるだろう。ただ、安定して上位に行くためにはドゥムブヤはもちろん、ルーク・ケナード、ブルース・ブラウン、スビ・ミハイリュク、クリスチャン・ウッドといった選手たちの成長が欠かせない。このオフに彼らがどれだけスキルアップできるかが、ピストンズの今後5年間を左右する。