チェコ戦の日本代表は、持てる力を発揮した上で敗れた
前半を終えて48-35。後半はプラスマイナス5点の幅で点差が動いたが、結局のところ前半終了時点の15点差がずっと付いて回ったことになる。ラトビア戦に続きチェコ戦にも敗れ、2連敗で敗退決定。この2試合のパフォーマンスをどう評価するかは意見の分かれるところだが、ラトビア戦はさておき、チェコ戦での日本代表は持てる力を発揮した上で敗れたと言えるだろう。
試合終了直後、「やり切りました」と語った田臥勇太も、そう感じていたに違いない。「15点から20点、その差をこれから埋められるように頑張っていきたいです」
では具体的にその差はどうやって埋めるのだろうか。「ミスの部分です」と田臥は言う。「簡単なエンドラインからのスローインで簡単にやられたり、トランジションで抑えられなかったり。簡単なシュートで取られすぎたのがもったいない部分ではあったので、そこでもっと頑張って、集中力を切らさずに相手を苦しめられれば、10点は抑えられるはずなんです」
ラトビア戦は手も足も出なかった。だがチェコ戦はどうだっただろうか? 常に2桁のビハインドを背負ってはいたが、「戦えている」という感覚はあったはずだ。ラトビア戦からの中一日で軌道修正し、ここまで持ってきたことは素直に評価したい。
「相手がどういうチームで、それに対してどう対応するか。それは短期間でもやろうという気持ちを持ったメンバーだったので」と田臥は言う。「悔しい結果ですけど、先に繋がる大会になったと思います」
昨年のアジア選手権から続く日本代表の戦いはここで終わってしまった。五輪出場を目指して「奇跡を起こす」というミッションは果たせなかったが、それだけですべてをダメと決め付けるのはナンセンスだ。比江島慎や渡邊雄太など、若い選手の力は伸びている。これからBリーグでバスケットボール界全体が盛り上がれば、その流れはさらに勢いを増していくはずだ。
まずは今大会の総括。収穫と課題を明らかにして、その上で新たな一歩を踏み出すことだ。ここからの1年で日本代表がどう変化していくか。Bリーグと互いに影響しあう効果も含めて、注意深く見ていきたい。
苦戦が続く試合展開の中、田臥は強烈な存在感を見せた
そして、36歳の田臥勇太はどうするのだろうか。今のメンバーの中でこの年代の選手は一人だけ。これからの世代交代により代表から名前が消える可能もある。だが田臥としては「先に繋がる」のコメントからも分かる通り、自ら代表引退を宣言することはないだろう。常々「バスケに年齢は関係ありません」と言う田臥のこと、その力が必要とされる限りは「AKATSUKI FIVE」のユニフォームを着続けるはずだ。
このチェコ戦、田臥はノーゴールに終わったが、それでもなお強烈な存在感を示してみせた。意思を持ったパスでチームを動かすオフェンスの面でも、そして前から激しく当たって相手の攻撃の起点を容易に作らせないディフェンスの面でも、今なお日本代表に田臥の代わりはいない。
「日本代表がどう変わっていくか」を見ていく上で、「それに田臥はどうかかわっていくのか」は非常に楽しみな要素だ。