ケガで持ち前の全力プレーを出せずにベンチへ、苦境に悩みながらも東京オリンピックを見据える本川紗奈生「後で見てろよ」

2017/06/22
日本代表
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文=丸山素行 写真=野口岳彦

自分のプレーができない状況に「何がしたいんだろう」

女子日本代表は1カ月後に開幕するアジアカップを控え、第4次強化合宿を行っている。リオ五輪で世界に日本の可能性を示し、得意の鋭いドライブを武器に躍動した本川紗奈生ももちろん合宿に参加している。しかし、練習を終えた本川の表情は冴えないものだった。

本川は左足の足底筋膜炎が2年前から悪化し、それをかばうことで右足も足底筋膜炎になってしまった。さらにハードワークがたたり両ひざも痛め、ここ数年はケガとの付き合い方に悩まされている。やりたいけれどやれない、そのもどかしさに本川は苦しんでいた。

6月19日の公開練習ではケガの影響を感じさせないプレーをしているように見えたが、本人は「80%もできていないです」と言う。ケガが脳裏をよぎり、持ち味の全力プレーに行く瞬間に躊躇が生まれる。「自分のプレーを見せたいけど、その一歩が出ないとか、ルーズボールを追いたいけど追えないとか、もっとディフェンスをやりたいけど……」

「今、無理をしてやってもダメだというのは分かっています。ここで頑張ってもアジアカップもそうだし、リーグでもダメになってしまいます。ですが、そこで遠慮していたら自分のプレーができないので、思い切りいきたいけど難しいです」

先日まで行われていたヨーロッパ遠征でも、セーブしながらのプレーを強いられた。「前までは(痛みが)怖くてドライブにも行けませんでした。自分は特に仕事をしてなくて『何がしたいんだろう』って感じでした」

最大の目標を東京オリンピックに設定している本川にとって、代表辞退も一つの選択だ。それでも「今大会は休んでも良かったんじゃないかとは言われますが、やっぱりここでやりたいという自分の気持ちが強かったので来ました」と日本代表への強いこだわりを見せる。

ベンチに回るも「自分が絶対出るべき」の自信は揺るがず

日本代表のシューティングガードは特に競争が熾烈なポジションだ。リオ五輪で先発を務めた本川であっても、ポジションは確約されていない。実際にベストコンディションではない本川はヨーロッパ遠征で先発から外れている。

「もちろんスタートに戻りたいですけど、シックスマンとして何をやらなければいけないのかを今は考えてやっています。シックスマンでも活躍は絶対にできます。そこで目立っていければスタートと何も変わらないので、考え方を変えてやっています」と本川は言う。

「最初は納得いかなかったですし、今でも納得はしていないですけど、自分でも『こんなプレーは自分じゃない』って思っているので」とベンチスタートの現状を受け止めている。それでも「2番は自分のポジション、自分が絶対出るべきと思っています」と2番ポジションへのこだわりは誰よりも強い。

自分にできることをやり、周りを気にしないようにしていると話す本川だが、オリンピックを見据え、「後から見てろよ、って感じです。目標は東京なので」と一言。全力でプレーできない現状ではチームメートの背中を押す役回りを受け入れているものの、それが本来の自分の姿だとは思っていない。

「筋肉をもっとつけたり身体を強くして、他を使いながら自分の身体と向き合ってやっていきたいです」と語る本川。最終メンバー入りした際にはコート上を縦横無尽に駆け回るあの全力プレーを見てみたい。もちろん無理はしない上で。