チームプレーを取り戻した横浜ビー・コルセアーズが連敗脱出、自滅した新潟アルビレックスBBはチャンピオンシップ消滅

2017/04/23
Bリーグ&国内
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文=大島和人 写真=B.LEAGUE

「行ける予感がしていた」横浜が出だしから走る

横浜ビー・コルセアーズは10連敗の泥沼状態で、新潟アルビレックスBBとの第2戦を迎えていた。一時は中地区の上位争い、チャンピオンシップ出場権争いにも絡んでいた海賊軍団だが、2月5日の千葉ジェッツ戦でジェイソン・ウォッシュバーンが負傷すると急減速。ウォッシュバーンは3月25日の富山グラウジーズ戦から復帰したものの、苦境は止まらなかった。戦績は22日の新潟戦を落とした時点で15勝39敗。B1の18チーム中16位まで落ちている。

新潟もここまで24勝30敗で、チャンピオンシップ出場のためには負けられない。立場は違えども、同じく厳しい状況だった。22日の初戦は新潟が82-79で取っている。

ただ、横浜にとって22日の初戦は16点差から追い上げ、一時は逆転する内容だった。尺野将太ヘッドコーチは「昨日良いゲームができたということで、今日は絶対勝ちに行くという雰囲気がロッカールームに満ちていた。行ける予感がしていた」と試合前の手応えを振り返る。

両チームとも外国籍選手オン・ザ・コート数が「2-1-1-2」だったこの試合。横浜は試合の出だしから走った。第1クォーターの横浜は細谷将司、ジェフリー・パーマー、ジェイソン・ウォッシュバーンが内外角からバランスよくシュートを沈めていく。リバウンドも12-5と優勢だった横浜が、25-12で第1クォーターを終えた。

第2クォーターは新潟のスティーブン・バン・トリースが11得点と大活躍。しかし横浜もパーマーが7得点を挙げ、攻守に存在感を示す。横浜はリバウンドからの速攻がよく決まり、46-27と大きくリードして前半を終えた。

チャップマンの爆発で新潟がクロスゲームに持ち込む

第3クォーターに入っても流れは変わらない。横浜はファイ・パプ月瑠が攻守でチームにエナジーを与えていた。彼は第1クォーターの途中からコートに入ると、お互いがオン・ザ・コート「1」になった第2クォーター、第3クォーターで『日本国籍のビッグマン』としてチームのアドバンテージになっていた。特にオフェンスリバウンドは第2クォーターが2つ、第3クォーターが3つと効いていた。

尺野ヘッドコーチはパプに対して試合中にヒントを与えていたという。話した事が結果としてスタッツに繋がったかどうか定かではない指揮官は軽く『オチ』を付けつつ、こう語る。「パプ選手がボールを持って1対1をする時に、相手との駆け引きで引っ張られたり、上手く身体をよけられたりして、上手くいかない部分があった。そこにこだわらないように、パプ選手が勝っている部分を出すようにと話をした。特に(遥)天翼選手とマッチアップしているときは、ローポストの1対1からのドリブルにこだわらず、ダックインだったり、リバウウンドだったり、もっとパプ選手が生きるところをやっていこうと話をした結果……がそうだといいんですけど(笑)」

横浜はハーフタイム明けにも川村卓也の連続ポイントなどでリードを拡げる。残り6分42秒にはウォッシュバーンが決めて時点でスコアは56-31と25点差に。尺野ヘッドコーチは最終盤の勝負どころを見据えて、第3クォーター残り4分48秒では川村とウォッシュバーンらをベンチに下げた。しかしこれが新潟にとっては付け入る隙となった。

新潟はダバンテ・ガードナーの連続得点などで39-62のビハインドから11ポイントのラン。50-62と点差を詰めて第3クォーターを終える。さらに勝負どころで当たっていたのが新潟のクリント・チャップマンだ。第4クォーターに入って、彼は3ポイントシュートを「5分の3」という高確率で決めた。

横浜の尺野ヘッドコーチはこう分析する。「チャップマンは高さもあって、打点が高い。彼のフェイドアウェイはかなり止めづらい。ガードナーも含めて、40分間ストレスを与え続けようということで、ディフェンスはチーム全員でやりました。しかしあそこまで確率良く決められてしまうと……」

こうして残り1分13秒、チャップマンにこの試合4本目の3ポイントシュートを決められ、土壇場で73-73と追い付かれてしまった。

終盤まで続く大混戦、勝敗を分けた2つの『潮目』

その直後の横浜の攻撃、シュートに行く川村が佐藤とバン・トリースに詰められ『あわや』の状態に。だが、このルーズボールの奪い合いで畠山俊樹が川村にファウル。これが勝負どころで一つ目の『潮目』になった。川村がこのフリースローを落ち着いて2本決め、横浜は75-73と再びリードを奪う。

2つ目の『潮目』は残り26秒の攻防。チャップマンのシュートが落ちたリバウンドをウォッシュバーンがキープ、ここでチャップマンがファウルを犯し、5ファウルにより退場に。さらには判定に対するリアクションでベンチもテクニカルファウルを取られてしまう。

庄司和弘ヘッドコーチは「戦う相手を間違えてしまい、最後は悔しい結果になった」と悔いる。新潟にとって酷な判定が続いた状況もあったが、勝負どころのテクニカルファウルで勝利の確率は大きく落ちてしまった。

ウォッシュバーンが「2プラス1」のフリースローを3本とも沈めて、スコアは78-73。加えて新潟のテクニカルファウルだったため、横浜ボールからの再開に。新潟はファウルプレーを選択せざるを得なくなり、最終的にはその後のフリースロー4投を3本沈めた横浜が81-73で逃げ切った。

この勝利で横浜の連敗は10でストップ。ホームでの勝利は2月4日の千葉戦以来だった。対する新潟はこの敗戦によりチャンピオンシップ出場の可能性が消えてしまった。

キャプテンの山田「この1勝でこんなに喜んでくれて……」

尺野ヘッドコーチは、自らがチームに施した修正をこう説明する。「以前はボールに5人の選手が集まってしまう悪い癖があった。ボールのないところでスクリーンを掛け合う、スペースを取るという練習を重ねて、少しずつノーマークのイージーなシュートが増えてきた。比較的バランス良く点を取る力のある選手がいるので、得点がバラけるようにしっかり全員でボールをシェアするところを積み重ねてやってきた」

実際、横浜は23得点の川村を筆頭に細谷、パーマー、パプ、ウォッシュバーンも含めて合計5人が2桁得点を挙げた。

チームが厳しい状況にありながら、2213名の観客が作り出すトッケイセキュリティ平塚総合体育館の雰囲気はポジティブで、間違いなくチームを後押ししていた。キャプテンの山田謙治は連戦を終えた心境を口にする。「ファンの方々がこの1勝だけでもこんな喜んでくれて、僕たちもうれしい気持ちになるし、逆に申し訳ない気持ちがありながらのゲームでした」

プレーオフ圏内脱出に向けて、横浜に残されたレギュラーシーズンは残り5試合。この勝利で14位の秋田ノーザンハピネッツ(17勝38敗)と1ゲーム差に詰め寄っている。次節の川崎ブレイブサンダースも含めて強敵との対戦は続くが、海賊軍団にとっては残留プレーオフ出場回避に向けて、間違いなく大きな一勝だった。