再延長までもつれた大接戦、サクレ頼みとなり足が止まったサンロッカーズ渋谷をチームで戦う栃木ブレックスが上回る

2017/01/30
Bリーグ&国内
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文=丸山素行 写真=B.LEAGUE

広瀬健太のミドルシュートで土壇場で追いついたSR渋谷

サンロッカーズ渋谷と栃木ブレックスの第2ラウンド、前日と同様にチケットはすべてソールドアウトの満員御礼となった。

最初に流れを掴んだのは第1戦で競り勝った栃木。田臥勇太がスティールからトランジションバスケを作り出し、速攻からノールックパスでのアシストを見せ会場を沸かせた。田臥の2スティール2アシストの活躍で栃木が17-12と先手を取る。

だが第2クォーターに入ると、アイラ・ブラウンとロバート・サクレを軸にSR渋谷が巻き返す。インサイドの強力コンビが相手のファウルを誘い、ファウルを嫌った栃木のハイプレッシャーを封じたところで点差を縮めていく。最後のポゼッションで広瀬健太が3ポイントシュートを沈め、32-31と逆転して前半を終えた。

後半は一進一退の攻防に。古川孝敏の3ポイントシュート、インサイドを攻めるライアン・ロシターの高確率のシュートで栃木が先行したかと思えば、アキ・チェンバースとアールティー・グインが少ないチャンスで3ポイントシュートをきっちり沈めて追いすがる。

45-47と2点リードされ迎えた最終クォーターでは、これまでの守り合いから一転し4分弱の間に12点を奪い合う乱打戦となった。

グインの軽率なパスを狙われ渡邉裕規にワンマン速攻を許し、残り2分で6点をリードされたSR渋谷。だがここから執念の粘りを見せて、栃木に得点を許さない。サクレがフックシュートでつなぐと、残り6.4秒で広瀬健太が価千金のミドルシュートをねじ込み、土壇場で同点に追い付いた。

サクレに頼り足を止めたSR渋谷、終始チームで戦った栃木

ともにチームファウルが4を超えた状態でスタートした延長戦は一つのファウルが命取りになる状況。互いにギリギリの攻防を繰り返し、延長ではフィールドゴールの成功が1本ずつに留まった。

アイラが3ポイントプレーとなるバスケット・カウントを決めギブズを退場に追いやり、サクレがフリースローを1本沈め74-73としSR渋谷がリードするも、残り9.5秒で素早いボール回しからズレを作ったロシターの突破はファウルで止めるしかなかった。

もっとも今シーズンのロシターは、「イップス」と呼んでいいほどフリースローを大の苦手としている。1本目を外していよいよプレッシャーが重くのしかかったが2本目は決めて74-74、試合は再延長へと突入した。

ダブルオーバータイムに入ってすぐに、アイラが個人4つ目のファウルを犯し劣勢に立たされる。これまで得点でチームを引っ張っていたアイラがアグレッシブにプレーできなくなったSR渋谷はこれまで以上にサクレにボールを集めたが、サクレ一辺倒ではオフェンスは機能しない。

渡邉が流れの中から放ったミドルシュートが外れるも、自らオフェンスリバウンドを奪いゴール下で得点するビッグプレーも飛び出し、試合はついに決着を見ようとしていた。

栃木ディフェンスのプレッシャーを受けなかなかシュートが打てないSR渋谷はショットクロックギリギリでアキが逆転の3ポイントシュートを狙う。素早いパスワークでズレを作り、絶妙なポンプフェイクでディフェンスの名手、遠藤祐亮を飛ばしてフリーの状況を作り出したアキは慎重に狙いを定めたが、慎重になりすぎた一呼吸で遠藤が鋭いフットワークで戻りブロックショット。こぼれ球も栃木に拾われ万事休す。ファウルゲームに持ち込むも古川にしっかりとフリースローを決められ、78-82で栃木の前に力尽きた。

古川「持ち味であるディフェンスで勝ちきったことは重要」

トーマス・ウィスマンヘッドコーチは要所でのパフォーマンスを勝因に挙げた。「フリースローを重要な場面でしっかり決めることができたし、ディフェンスでも必要なところでパフォーマンスを出すことができた」

だがオフェンスでは「自分たちの求めるレベルにはまだ至っていない」と発言し地道に練習をして改善していきたいと課題に向き合った。「良い形で、良いシュートを打たせる、そのためのプレーを作っていくというのが自分の仕事だと思っている。何かを変えれば改善されるものではないので、練習から地道にやっていきたい」

敗れたBTテーブスヘッドコーチは栃木を相手に粘りを見せたディフェンスが収穫だと語る一方で、サクレ頼みとなったオフェンスを敗因に挙げた。「ゲームの中でサクレに頼りすぎたのが問題だった。彼にボールが入るのはいいが、そこから外にボールが戻ってもすぐまた彼に戻ってしまう。それでは成功が難しい」

チーム一の実力者であり、相手も嫌がっていたサクレにボールを集めること自体は悪くない。しかしサクレに託した後は足が止まってしまい、栃木に的を絞らせた。そしてテーブスが「チームでボールを動かすという部分では向こうが上だった」と語ったとおり、チームオフェンスの差はフリースローにも表れた。8人の選手で28本のフリースローを獲得した栃木に対し、SR渋谷はサクレとアイラの2人だけで15本という偏重ぶり。

サクレは16得点9リバウンド、アイラは20得点10リバウンド。ともにプレータイムが43分を超えるタフな試合となったが、勝利は手に入らなかった。接戦の末に栃木に連敗を喫したSR渋谷としては、サクレとの連携が向上していくのは確実で、この段階で栃木にこれだけの戦いができたことはプラスにとらえていいだろう。

ただ、2試合ともほとんどの時間帯では栃木がリードしていたことを考えると、『あと少しの差』とは言え、その差は決して小さくはない。今後に期待は持てるが、健闘しただけで満足していてはチームは強くならない。サクレに頼りすぎる状況からの脱却とともに、『負け癖』を付けないことが重要だ。

逆に栃木は粘るSR渋谷、そして未知のサクレに苦しみながらもきっちり勝利。格上の力を見せたと言える。チームハイの20得点を挙げた古川は「自分たちの持ち味であるディフェンスで勝ちきったことは重要。難しい展開の中でしっかり勝ちきったことは大きいことだと思うし、自信を持って今後のゲームに臨みたい」と語った。