[ウインターカップ・プレビュー]vol.16 桜花学園(愛知)井上眞一監督「悩んでも苦しんでもいい、見届けるのが私の仕事」

2016/12/22
プレイヤー
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文・写真=松原真

選手と私には「日本一になりたい」という共通点がある

──引き続き選手との接し方について聞かせてください。アメとムチではないですが、優しくするだけでは勝てない現実もあると思います。そのメリハリはどう付けていますか?

体育館と寮での切り替えはあります。私は寮生活を『家族』と考えていて、そこでは自分が父親代わりだと考えています。選手からは「おじいちゃん」と言われるけど(笑)。そういう視点で、時には自分も寮で食事をしながら選手の様子を見ています。悩みは苦しみはあってもいいんです、それは乗り越えないといけないことなので。ただ、それを見届けてやることが仕事だと思っています。

──生徒と接する上で譲れないものはありますか?

みんな「日本一になりたい」という気持ちでウチに来るので、できれば「代表に入りたい」と思ってほしい。そういう気持ちがなくなるようなところもあるので。

──全国からトップ選手が集まると、自信をなくすことも?

ありますね。その中でチームでの自分の役割を理解して、ユニフォームは着れないけど、チームのために応援しようという気持ちにしていくことが重要です。私もプレーヤーとしては大したことはありませんでした。試合には出れないけど、試合に出る下級生を応援できるような雰囲気を作り出せたらと思います。

──試合に出られない選手のケアはどのようなことがありますか?

ユニフォームを着ていない子の進路を先に考えています。6月ぐらいからスタートするので。その子が次の道でユニフォームを着て活躍できる場面を私が作ってやる、それが大事だと思っています。

──全国トップレベルの選手であると同時に、思春期の女の子でもあります。お父さん年代を生理的に嫌う年頃ですよね。

それはあるね(笑)。でも私は『女の子』とか『思春期』とか考えたことがないんです。

──選手たちと良い関係を築き、卒業後も慕われる理由はどこにあると思いますか?

共通点があるからですよ。「日本一になりたい」という共通点。バスケットボールが好きで、日本一になりたい。そこが一緒なので、『女の子』とか『思春期』という違和感はないですね。私自身の「日本一になりたい」という気持ちも選手には伝えます。選手には日本一になってほしいので。負けたくない気持ちがあるから強いチームになるんです。

今年の選手たちはバスケットボールの理解力が高い

──インターハイやウインターカップの優勝も、回数を重ねていくごとに新鮮味が薄れていくと思います。「強いチームを作る」という監督の原動力はどこから来ていますか?

20回優勝しても、20回ともメンバーは変わっているわけだから。私からしたら20回かもしれないけど、選手としては初めてなわけですよ。だからあまり回数は関係ないですね。

──ウィンターカップ開幕を控えた今の心境を教えてください。

去年負けているのと、今年は2つとも今のところ勝っています。多分、決勝は岐阜女子だろうと。去年は体の強さ、コンタクトの強さの部分で負けたので、それについてはかなり練習を進めてきたつもりではいます。

──では、岐阜女子との対戦に向けた準備は万端ですか。

岐阜女子とはなんせ1年間で5回ぐらい対戦するので、ウチのオフェンスパターンが相当バレています。それを選手たちが少しアレンジして変えたいと言ってきました。選手のモチベーションは高いと思います。

──選手から自発的に、監督にそういう提案を上げるのも普通なんですか?

年によりますね。ある程度バスケットを理論的に理解できていないと、そういうオプションを増やすことはできません。今年の選手たちはそういう意味では理解力は高いかなと思います。

──最後に、今回のウインターカップに臨むチームの特徴を教えてください。

ディフェンスがうまくいけば、そこから速攻が出せるので、走るバスケットをやりたいです。バスケットは走ることが基本なので。そういうバスケットをやりたいですね。