文=鈴木健一郎 写真=B.LEAGUE

アジアと日本、感覚の違いへの適応に戸惑った開幕1カ月

先週、ホームでの京都ハンナリーズ戦。シーホース三河は66-37、80-49というスコアで2試合とも完勝を収め、連勝を4に伸ばした。

三河のエース、比江島慎は初戦こそ23分間の出場で6得点と振るわなかったが、第2戦では32分間の出場で18得点をマーク。こちらは7リバウンド4スティールと守備でも存在感を見せる、素晴らしいパフォーマンスだった。

日曜の試合を終えた比江島は、この連戦を振り返って「負ける気はしなかった」と強気なコメントを残した。「僕らがしっかりディフェンスをして、相手のやりたかったバスケをやらせなかった。次がどうなるか分かりませんが、この2試合は僕らが良かったと思います」

チームは4連勝。比江島個人のパフォーマンスも試合を重ねるごとに向上している。ただ、本人としては「まだまだ」だそうだ。「もっとドライブして、もっとアシストを増やしていきたいんですけど。今日は外のシュートが入ったんでまあ……でもまだ満足はしていないです」

Bリーグ開幕直前まで『FIBA ASIAチャレンジ』に参戦していた日本代表選手は、アウェーの地であるテヘラン(イラン)で、10日で8試合という超過密日程をこなしていた。誰もが疲弊しきった状態で帰国し、そのままBリーグ開幕を迎えて苦戦を強いられた。

比江島も例外ではない。いや、AKATSUKI FIVEのエースとしてフル稼働していたのだから、疲労の蓄積は相当なものだったのだろう。苦しい序盤を何とかしのぎ、ようやくエンジンがかかってきた……と思ってコンディションについて質問すると、「いや、僕の場合は身体はそこまでキツくはなかったです」という意外な答えが返ってきた。

「メンタルが追い付いてこないと言うか、アジアでやるのと日本人を相手にやるのは感覚が全然違うので、そこに慣れるのに僕は時間がかかりました」

国内と海外の違い。日本代表のため『世界仕様』に感覚を合わせた結果、Bリーグで戸惑うことになった。

比江島が具体的に説明してくれた。「アジアでは相手が大きいのでチェックは高いのですが、はっきり言って横の動きはそこまでではないので。ですが日本人の場合は横に動けるので、そのところですね。最初はもう全然ダメでした。やっと慣れてきた感じです」

「僕らは開幕の頃に比べるとすごく良くなっている」

日本のバスケに『再アジャスト』すること1カ月。ようやく本来のパフォーマンスが出てきた。この試合の比江島について、鈴木貴美一ヘッドコーチは「試合前の練習からシュートタッチもかなり良かったので、やってくれると感じていました」とコメントしたが、その話を本人に振ると、「昨日も(シュートタッチは)本当に良かったんですけど」と言う。ちなみに土曜はフィールドゴール11本中2本成功、わずか6点に終わっている。

「(土曜は)練習中はすごく良かったんですけど、なぜか試合になるとシュートが入らなかったので。でも、今日はとにかく打ち続けるつもりでした。自分を信じてやり続けた結果、入ってくれたんだと思います」

比江島の復調とともに、チームにも勢いが出て来た。この週末は名古屋ダイヤモンドドルフィンズとの対戦。三河は第2節、Bリーグでのホーム開幕戦で、『愛知ダービー』に連敗するという屈辱を味わった。普段はクールな比江島も、リベンジの意識を強く持っている。

「開幕戦ではやられました。でも僕らは開幕の頃に比べるとすごく良くなっていると思うので、今は勝てる自信があります。次はドルフィンズのホームでやるので、そこはチャレンジャーの気持ちでぶつかっていきます」

西地区の勢力図を決めると言っても過言ではない『愛知ダービー』。29日(土)、30日(日)ともにパークアリーナ小牧で、14時ティップオフとなる。

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