文=鈴木健一郎 写真=B.LEAGUE

滋賀はキーマンのファウルトラブルで追い上げの力が足りず

西地区で首位を快走する名古屋ダイヤモンドドルフィンズが、ホームの愛知県体育館に滋賀レイクスターズを迎えた。立ち上がりは両チームともオフェンスで呼吸が合わず、自滅気味のターンオーバーを繰り返して得点が伸びない。

より苦しんだのは名古屋だ。試合開始から5分弱でジャスティン・バーレルと笹山貴哉の2人だけで10点を奪ったまでは良かったが、そこから滋賀がディフェンスを引き締めると、笹山が外角シュートを狙う機会を作れなくなり、バーレルはペイントエリアでパスを受けた瞬間にダブルチームで対応され、ゴールに向かったプレーができない。バーレルを2人で守ることで生じるマークのズレも滋賀は素早いローテーションで埋めていく。

こうして第1クォーター残り5分20秒以降、名古屋は得点を奪えず。ジュリアン・マブンガの3ポイントシュートを皮切りに12-0のランを浴び、10-17と逆転されて第1クォーターを終える。

この苦しい流れを変えたのは、ケガから戦線復帰した2人だった。開幕戦にケガをして、以後5試合を欠場していた石崎巧が落ち着いてパスをさばいてターンオーバー連発の悪い流れを止めると、新加入ながらここまで欠場が続いていたジョーダン・バチンスキーがコートに入り、218cmの長身を生かしてもう一人のビッグマン、ジェロウム・ティルマンをフリーにして得点を演出する。

これでオフェンスが動き出した名古屋が追い付き、27-27で後半へ。もっとも、第3クォーターに向けて重要だったのは追い付いたことではなく、滋賀のマブンガとデイビッド・ウィーバーの個人ファウルをともに3つとさせ、ファウルトラブルに追い込んだことだろう。

第3クォーター、名古屋はようやく攻守が噛み合い、キーマンとなる外国人選手2人がファウルトラブルになった滋賀を容赦なく攻めたてる。序盤は前を向けなかったバーレルが、オフェンスリバウンドをつかんで自ら決めて29-27と勝ち越した得点を起点に16-2のラン。ここで主役となったのは張本天傑だ。内と外を問わずシュートを決めて、このピリオドだけで11得点を記録し、一気に滋賀を突き放した。

最終ピリオドで16点差を追う滋賀は強攻に出る。狩野祐介、田中大地、菅原洋介と3ポイントシュートを沈めるが、名古屋もきっちり得点を決めてリードを保ち続ける。残り6分9秒、スクリーン役に徹してきたバチンスキーが自らペイントを攻めてBリーグ初得点を記録。これで58-38とリードが20点に開き、しかもウィーバーが5ファウルで退場。ここで勝敗の行方はほぼ決した。

最終スコア67-54で名古屋が勝利し、連勝を5に伸ばした。勝ちが続いているとは言え選手のやりくりに苦しんでいた名古屋にとっては、11人の登録選手全員がプレーできたことが収穫と言える。もっとも、ヘッドコーチのレジー・ゲーリーは「前半が良くなかった」と課題に触れ、「20分間だけいいバスケをするのでは物足りない」と、明日の第2戦に向け選手たちの気を引き締めた。