勝利を置き土産にアメリカへと旅立った渡邊雄太、NBAに向け「楽しみしかない」

2018/09/19
日本代表
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渡邊雄太

文=丸山素行 写真=鈴木栄一

「ひたすら努力をし続けなければいけない」

ワールドカップ予選に臨んだ男子日本代表は、カザフスタンとイランに連勝し、戦績を4勝4敗の五分に戻した。アジアの強豪イランを撃破した興奮冷めやらなぬ中、勝利の立役者となった渡邊雄太がNBAグリズリーズのトレーニングキャンプに参加するため渡米した。

渡邊はグリズリーズと2ウェイ契約を結んでおり、シーズン中最大45日間、NBAチームに所属することができる。そのため当面はグリズリーズ傘下のGリーグチーム、メンフィス・ハッスルで結果を出すことが求められることになりそうだ。

渡邊も「今はまだ自信というより、まず使ってもらわないと次の道は開けないだろうなと思っています。まず45日間の中でいかにアピールできるか」と冷静に現状を見つめている。

今回はトレーニングキャンプに参加するための渡米となるが、「チャレンジ精神でいつもやっているので、一つ上のレベルでやるという部分はありますが、特別な気持ちではないです」と気負いはない。大学での実績や代表での活躍、そして2ウェイ契約を結んだことから、これまで以上に注目されるのは当然だ。『渡邊ならやってくれる』というプレッシャーはあるはずだが、そういった雑音は聞こえないという。「自分が好きでやっていることなので。誰かに言われてメンフィスに行くわけじゃないですし、とにかく小さい時からNBAという目標があって、それに向かってずっと進んできて、そして今ここにいるので、楽しみしかないです」

小さい頃からの目標にもう少しで手が届く距離まで来た渡邊。「大学時代からとにかくずっと努力を続けて、やっとここまでたどり着いたので、今後も努力をし続けて自分がどういう選手になっても決して満足することなく、ひたすら努力をし続けなければいけない」と向上心に天井はない。

渡邊雄太

「NBA選手という肩書を持って、日本代表に帰ってきたい」

直近のワールドカップ2次予選2試合は渡邊と八村塁の参戦により、ディフェンスとトランジションが向上し勝利を収めた。だが11月のカタール戦、12月のカザフスタン戦は、スケジュール的に渡邊抜きでの戦いを強いられることが予想される。それでも渡邊は現在の日本代表の力を信じている。

「もちろんチーム全体として、ステップアップは必要になってくるとは思います。得点だけを見ると、僕と塁が伸びていたのはあるんですけど、練習を通して得点できる選手が多いと感じました。そういう選手が積極性を持ってやれば、僕と塁がいなくても、全然同じような内容というか、良いゲーム内容で勝てると思います」

直近の2試合、日本は速攻からの得点が効果的に決まったが、それは渡邊と八村がフィニッシャーとなっていたことが大きい。世界を相手にフィニッシュまで持って行ける選手はまだ少ないが、渡邊は期待する選手に比江島慎と馬場雄大の名前を挙げた。「比江島さんと雄大。あの2人はフィニッシュ力があると感じています。比江島さんはこれからオーストラリアに行って、さらにレベルアップして帰ってくるんだろうなって感じてます。雄大もまだ若いですし、去年Bリーグを通して成長した選手だと思っていて。そういった選手が次の試合でステップアップすればもっと強い日本が見せられるようになる」

「いつ帰ってくるのか分からないですし、まだ具体的なことは分からないですけど、もし来年であればNBA選手という肩書を持って、また日本代表に帰ってきたいと思っています」。渡邊はそう言い残し、アメリカへと旅立った。日本代表のロスターに、NBA選手が名を連ねることもそう遠くないかもしれない。