ゲームメークから「空いたら打つ」を徹底した富樫勇樹「プレッシャーはなかった」

2018/09/18
日本代表
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富樫勇樹

文・写真=鈴木栄一

勝因は「50点台に抑えたディフェンスがすべて」

9月17日、男子日本代表はワールドカップアジア2次予選のイラン戦に70-56で快勝。FIBA主催の大会では実に2005年以来となるイラン相手の勝利を、余裕の展開で収めた。この勝利の原動力として、渡邊雄太と八村塁の名前はすぐに挙げるが、司令塔を務めた富樫勇樹の貢献も見逃せない。

この試合、富樫は9得点2アシストを挙げ、特に要所で外角シュートを決めることで渡邊、八村のインサイドアタックからオフェンスの幅を広げる役割を果たした。さらに「50点台に抑えたディフェンスがすべてだと思います」と自身が勝因を語ったように、自身も4リバウンドも記録して守備でも奮闘ぶりを見せた。

この堅守をもたらした要因を「試合序盤はゾーンディフェンスが機能しなかったという部分と、ローテーションの部分で間に合わなかったことが多かったです。それが第3クォーターに、マンツーマンに切り替えて引き離すことができました」と振り返る。

代表での富樫は千葉ジェッツとは違い、得点よりゲームメークをより意識している。「もうちょっとシュートを打とうと思えば打てますが、代表は各チームのエースの集まりであり、全員にボールを散らして12人でバスケをすることが大事と思っています。シュートに関しては、打つべきところで打つ、くらいに考えています」。

その中でもこの日は「空いた時はすべて打てていた」と振り返るように、的確なシュートセレクションからスタッツ以上のインパクトを与えた。

富樫勇樹

渡邊と八村の活躍に「全員が何かしらもらっている」

これで日本はアジア予選で4連勝となり、ついに勝率を5割に戻した。オーストラリアに続き、今回も相手がベストメンバーではなかったとはいえアジア屈指の強豪イランを撃破。このチームの進化について、富樫は渡邊と八村が加わったことでのコート内だけでない好影響を語る。「雄太と塁のアメリカでの活躍には全員が何かしらのものをもらっていて、個々のレベルアップを考えて取り組むことができていると思います。その結果が出てきて、すごくうれしいです」

富樫本人にとっても旧知の中である渡邊と八村の代表合流は、大きな刺激となった。「2人は、もちろん日本での学生時代から知っています。3人でプレーするのは初めてで、この2試合はすごく楽しかったです」

この『楽しかった』という言葉が示すように、ワールドカップ出場へ負けが許されない大一番であっても、平常心でプレーできたことが富樫の活躍の要因だった。「他の人はどう感じていたのか分からないですが、プレッシャーはありませんでした。勝たないといけない試合なのは理解していましたが、イランはこの10年くらい勝ったことがない相手だと知っていたので、そこにプレッシャーを感じる必要はないかなと思っていました」

Window4での富樫はカザフスタン戦、イラン戦ともに9得点を記録。Window5、6は渡邊、八村の参加が厳しいだけに、ここで富樫が2試合続けて要所でシュートを決めたのは今後に向けても大きなプラス材料だ。渡邊、八村とワールドカップの大一番で世界に挑むためにも2次予選の残り4試合、富樫のさらなるステップアップを楽しみにしたい。