インサイドの不利、『個』の差を埋められず
信州ブレイブウォリアーズvs宇都宮ブレックスの第1戦。平均失点でリーグ3位の信州とリーグ1位の宇都宮というディフェンスを持ち味とするチーム同士の対戦とあって、戦前の予想通りロースコアゲームとなった。
信州はコンディション不良により熊谷航とウェイン・マーシャルの2人が欠場。宇都宮のトランジションを止められず開始3分で3-10と先行されたが、タイムアウトを取って立て直すと前田怜緒の4点プレーなどで持ち直した。それでも、日本人選手トップとなる平均19.1得点の岡田侑大が徹底マークを受けて沈黙し、マーシャル不在のインサイドを狙われたことで12-19で第1クォーターを終えた。
第2クォーターに入ると、インサイド陣へダブルチームに行き、素早いディフェンスローテーションでペイント内での失点を防いだ信州がリズムをつかむ。宇都宮を約6分間で2点に封じると、井上裕介の3ポイントシュートや前田のバスケット・カウントで1点差に迫った。
しかし、ディフェンスを崩してフリーのシュートチャンスを作り出すも、信州はこのシュートを決め切れず、逆転の好機を生かせない。逆に強度の上がった宇都宮の包囲網に引っかかり、8秒バイオレーションを取られるなど4ポゼッション連続でシュートまで持ち込めなかった。そして、比江島慎の個人技を止められず連続で失点を許すと、1点差に迫って以降の約7分半もの間得点が奪えず、20-30で前半を終えた。
後半開始直後、鵤誠司からボールを奪った岡田がアンスポーツマンライクファウルを誘発し、フリースローでようやく初得点を記録。さらにこのファウルで得たポゼッションでもドライブを決め切り、初めてのフィールドゴールを成功させた。これで流れに乗った信州は攻守が噛み合い、11-2のランで再び1点差に迫った。その後、これまでの守り合いが嘘だったかのように互いに得点を奪い合う展開となったが、信州はアンソニー・マクヘンリーのフリースローでついに逆転。直後、チェイス・フィーラーにインサイドを突かれ、再逆転されて最終クォーターを迎えた。
その後、信州は1、2ポゼッション差を追いかける展開が続いたが、結果的に個の力の差が徐々に表れ63-72で敗れた。マーシャルが不在なためどこかでミスマッチが生じてしまい、それをチーム全体でカバーしていたが、大事な場面でオフェンスリバウンドからセカンドチャンスポイントを与えてしまった。また、チームディフェンスは機能していたが、第4クォーターだけで10得点を許した比江島の個人技には対応し切れず、6ターンオーバーとミスも増えたことで接戦を落とした。
ゲームハイの19得点を挙げた比江島は「信州さんは激しくディフェンスしてくるチームなので、オフェンスで苦しむ時間帯があることは予想していた。そこでアグレッシブにプレーしてチームに勢いを与えるプレーができたのは良かった」と振り返った。
また、岡田を「トップクラスのスキルを持っている選手」と称しつつ、「後半に彼が乗ってきたところで信州の流れになったので明日は止めたい」と意気込んだ。