ケンバ・ウォーカー

膝が万全でないウォーカーに代わり、アレク・バークスを先発に抜擢

ニックスは5勝1敗と開幕ダッシュを決めたが、11月に入ってからは6勝8敗と負けが先行し、なかなか上昇気流に乗れない。東カンファレンスではウィザーズにブルズ、ホーネッツが躍進しており、昨シーズンにプレーオフ進出と一応の成功を収めたニックスにとっては、その足場が揺らぎかねない状況にある。

その状況でニックスは、変化を決断した。開幕からスタメンを務めてきたケンバ・ウォーカーを外す決断だ。しかも、先発から控えに回すだけではなく、ローテーションからも外す。ヘッドコーチのトム・シボドーは「私はケンバのこれまでの実績、人間性を尊敬している。だが、チームのために最善と思うことをやらなければいけない」と説明する。

ケンバは現地11月26日のサンズ戦に先発出場し、チームトップの17得点を挙げている。しかしチーム自体は動きが重く、競った展開ができたのは前半だけ。後半は次第に引き離され、見せ場なく敗れた。ケンバはこの時、サンズがいかに良いチームかを説明した上で「僕らは彼らから学び、チームとして成長しなければならない」と語っている。

その翌日、連戦となったホークス戦をケンバは欠場した。代役を務めたのはアレク・バークスで、初の先発起用に応えて23得点7リバウンド3アシストを記録し、99-90と我慢の展開となった試合でチームに勝利をもたらしている。

今シーズンのケンバはここまで平均11.7得点、3.1アシストを記録。いずれもキャリアワーストの数字だが、それ以上にディフェンスの穴になっていることが大きい。ケンバは以前から痛めている左膝の状態が思わしくない。ニックス加入が決まった際には「膝のケアもしっかりできたし、ここ数年にはないぐらいコンディションは良い」と語っていたが、実際にコートに立つと問題が出た。

ジュリアス・ランドルはサンズ戦を終えたタイミングでは「シーズンは82試合ある。慌てる必要はない」と語っていたが、シボドーが決断した以上は従うしかない。「僕はコーチを信頼している。彼は常にチームにとって何がベストかを考えている。僕たちはコートに出て仕事をするだけだ」と語る。

そのランドルも今シーズンは調子が上がらず、平均得点は昨シーズンの24.1から19.2へと落ちている。昨シーズンのチーム躍進の立役者だが、プレーオフではほとんど何もできず、その不振を今シーズンへと引きずっている印象だ。勝てないチームへのショック療法として今回はケンバが選ばれたが、ランドルにとっても他人事ではない。いずれにしても、長いシーズンの中でニックスが浮上するには、ケンバとランドルが揃って活躍することが求められる。ケンバは膝の状態が良くなればプレーも上向くだろう。ランドルにはこのショック療法を機に、スランプから脱してもらいたいところだ。