「僕としては次のワールドカップ、そこで結果を残せれば五輪に繋がる」
富樫勇樹が日本代表に戻って来た。東京オリンピックが終わって3カ月、ヘッドコーチがフリオ・ラマスからトム・ホーバスに代わり、新体制となったチームは、今週末に仙台で行われるワールドカップ予選の中国との2試合に向けて代表合宿を行っている。
昨日の会見で富樫は「トムさんの下、こうやってまた代表に選んでもらって光栄ですし、この合宿も新しいメンバーを含めてすごく新鮮で、最初の2試合の中国戦がすごく楽しみです」と語る。
田中大貴が代表引退を発表した。ベテラン選手の中には代表参加を決めるまでに悩んだ者もいる。名前は明らかになっていないが、今回は代表招集を受けても辞退した者は結構な人数になるはずだ。そんな中、富樫は迷わず参加を決めている。
「最後と思って東京五輪に出ていたわけではないんですけど、僕の判断ではなく協会も含め若手に切り替えたいとか、サイズアップしたいとか、監督によってはあったと思います。『もしかしたら最後になるかも』とは正直思ってはいたので。でも、その中でトムさんが身長をそこまで気にしない、他のスキルとかで良い選手を使いたいと思ってくれる監督で、そこは僕としては次のワールドカップ、そこで結果を残せれば五輪に繋がると思うので、まずはそこまで見据えて選手としてレベルアップして、しっかり評価されて代表に貢献したい気持ちはあります」
そして代表合宿の雰囲気をこう語る。「監督が代われば練習の雰囲気は変わる、それは良い悪い関係なく思いますし、それ以上に若い選手もたくさんいて、正直ラマス監督の時は4年間ほぼ同じメンバーでの合宿だったので、特にポイントガード陣はレオ(ベンドラメ礼生)が唯一ラマス監督の時からやっていますけど、それ以外の4人のメンバーは代表で一緒に合宿するのが初めてなので、良い刺激をもらいながら練習できています」
「これからどういうチームになっていくのか本当に楽しみです」
女子日本代表を見ていればトム・ホーバスの志向するバスケはイメージできる。富樫は新たなスタイルへの第一印象を「すごくはっきりしている」と表現する。
「ペイントの得点と3ポイントシュートの数、ポゼッションの数を増やしたいという話も最初のミーティングでありました。練習でも選手それぞれがそこを意識して取り組めています。選手としては慣れなきゃいけない部分も正直あるんですけど、全員がしっかり理解してやれれば、本当に面白いバスケットができるんじゃないかなと思います」
このスタイルは富樫にとっては大歓迎だ。「走りたい、ポゼッションの数を増やしたいとさっきも言ったんですけど、そこは僕としてはすごくうれしいこと。ハーフコートでサイズ重視のバスケットをされたら代表で生き残ることはできないので、そこは今すごく練習をしていて楽しみでもありますし、これからどういうチームになっていくのか本当に楽しみです」
今週末に対戦するのは『アジアの雄』の中国。今年はオリンピック前にも対戦しているが、敗戦を喫している。わずかな準備期間で実戦を迎える難しさは間違いなくあるが、「練習期間も少ない中での試合になるので、でも個人としてはトムさんのスタイルをしっかり理解した上で、その試合で成功するしないは別にやり続けて理解度を高めていきたい」と富樫は抱負を語る。
「高さの差があることは分かって練習をしている。そこもチームとして機能させることができたら面白い試合になると思います」