ミスが続いた前半、流れを引き寄せた渡邊と八村
来年のワールドカップの出場権を懸けたアジア予選は今日から2次予選がスタート。0勝4敗からの2連勝で1次予選を突破した男子日本代表は、アウェーでカザフスタンと対戦した。
富樫勇樹、比江島慎、渡邊雄太、八村塁、竹内譲次がスタメン出場した日本代表は、立ち上がりに動きが固い。富樫が鋭い動き出しから放ったシュートが2本連続で決まらず、八村の最初のドライブはオフェンスファウルとなり、組み立ての段階でパスが乱れてバックコートバイオレーションを取られるなどミスが続く。
対するカザフスタンはストロングポイントであるフィジカルに頼った戦い方をせず、足を使った前からのディフェンスで日本のミスを誘い、攻めに転じるとボールシェアしながらも個々が積極性を出してシュートまで持っていき、序盤に主導権を握ったかに見えた。
それでも、ここで流れを変えたのが渡邊だった。NBAグリズリーズと2ウェイとは言え契約を勝ち取っただけの『格の違い』を見せる。自ら果敢に仕掛け、相手も勢いに乗らせまいと激しく当たってくる中でシュートを沈め、連続バスケット・カウントで日本に勢いをもたらす。さらにはリバウンドを拾った八村がボールプッシュからそのままゴール下まで持ち込み、10-8と逆転。渡邊はコーナースリーも確実に決め、このクォーター13得点で試合の流れを作り出した。
国内組も奮闘、馬場はエナジー全開のプレーを披露
28-28で迎えた第2クォーターは、今度はブロックショットで八村塁の時間が幕を開ける。オフェンスリバウンドを拾ってねじ込んだかと思えば、激しいプレッシャーをターンムーブでかわして難しいジャンプシュートをきっちり決める。八村をペイントエリアから追い出そうとする相手の力を逆手に取って入れ替わり、竹内譲次のパスを呼び込んでのダンクも飛び出した。八村はこのクォーターで11得点。渡邊と八村がフル回転し、前半で49-34と日本優位の状況を作り出した。
第3クォーターはアイラ・ブラウンの時間。帰化選手は1名しか登録できないというFIBAルールにより、ニック・ファジーカスが日本国籍を取得した後は代表を外れていたアイラだが、ファジーカスのケガが長引いたことで代表復帰。ゴンザガ大の後輩である八村とのコンビネーションは強烈で、フィジカルで上回るはずのカザフスタンを蹴散らした。
『国内組』でチームを支えたのは田中大貴、馬場雄大、竹内とアルバルク東京の3人だ。田中は第1クォーター途中から出場し、激しいプレッシャーに動じることなく、バタついていたチームを落ち着かせた。馬場は持ち前のダイナミックな動きで攻守を支え、得点が止まった時に自らのアタックで突破口を開いたり、ルーズボールに飛び込んで相手の速攻を未然に防いでいる。竹内はファジーカス不在のセンターポジションでの肉弾戦に一歩も引かず、なおかつ経験豊富な攻守の駆け引きで、いくつもの局面を日本有利な状況に導いている。
「チームの自信になる勝利」を得て次のイラン戦へ
ここを落とすと厳しいカザフスタンは20点前後のビハインドを背負ってもモチベーションを落とすことなく激しく抵抗したが、日本のディフェンスは終始安定していた。そして個人能力頼みだったオフェンスも、リバウンドから走る展開が出るようになって活性化。最後まで試合をコントロールして、最終スコア85-70で勝ち切った。
指揮官のフリオ・ラマスは「素晴しい、重要な勝利。チームの自信になる」と胸を張った。「40分間、選手たちは良いディフェンスをしてくれました。リバウンドで渡り合い、試合をコントロールできた。試合に勝ったのはハッピーですが、これから次の試合に向けて考える時間です」
その言葉どおり、カザフスタンに勝つだけでなく、次のホームでのイラン戦に勝つところまで含めて、ワールドカップ出場を果たす意味ではWindow4で是が非でも連勝しておきたい。イランはアジア屈指の強豪だが、ホームで戦う以上は勝つ必要がある。カザフスタン戦は快勝ではあったが、オフェンスの組み立てには課題が残った。また攻守ともにミスが目立ったのも事実。ここを修正してイランに挑みたい。