古川孝敏

キャリア12年目の今シーズンにキャリアハイを更新

高校卒業後はバスケの名門、東海大を経て、『常勝軍団』アイシンシーホース(現シーホース三河)に加入。アイシンでは加入2年目から主力として活躍し、JBL最後のシーズンとなった2012-13シーズンにはJBL優勝を果たす。その後、リンク栃木ブレックス(現宇都宮ブレックス)に移籍し、Bリーグ初代王者に輝き、ファイナルMVPを獲得。そして、移籍した琉球ゴールデンキングスでも西地区優勝に貢献した。

これがベテラン、古川孝敏が歩んできた道だ。若手の頃からリーグのトップチームで主力を張っていた古川が、31歳の夏に選んだ新天地は秋田ノーザンハピネッツだった。

秋田はBリーグ初年度をB1で迎えるも、翌シーズンにはB2に降格。わずか1シーズンで再びB1に戻ってきたものの、2018-19シーズンは17勝43敗の勝率3割未満と苦しんだ。その秋田に、これまで優勝候補の強豪でプレーしてきた古川が移籍した時には、衝撃が走った。

その移籍を決断した頃、古川は「リーグ優勝を2回して、天皇杯でも優勝して自分は恵まれています。そういった経験を、このチームで伝えていきたい。今は自分の経験を伝えて、みんなと一緒にチームを作っていきたい。そうすることで、僕の選手としての深みも増して、いろいろなところで上手くなれる」と語っていた。

その秋田で在籍3シーズン目を迎えた古川は、若手が多いチームをコート内外で引っ張っている。ハードなディフェンスに加え、勝負どころでの適切な判断力、リーダーシップはチームに欠かせないものとなっている。また今シーズンは平均10.4得点を記録し、10月の群馬クレインサンダーズ戦ではキャリアハイを更新する30得点を挙げており、34歳の今も進化し続けている。

その古川も、日本代表からは長らく遠のいていた。2018年のワールドカップ予選でベンチ入りしたのを最後に、その後は予備登録メンバー止まりとなっていた。しかし、フリオ・ラマスからトム・ホーバスへと指揮官が交代したことで、再び古川は代表チームに招集されることとなった。

古川自身は以前、代表への思いをこう語っていた。「代表でやりたい気持ちはもちろんずっとあります。正直、今は少し遠のいている立ち位置は自分でも認識しています。ただ、これから新しいことを身に着けるという歳でもないので、今持っているものの深みだったり、正確さを身に着けていくことが大事だと思っています」

今回の招集メンバーの中では、最年長の竹内公輔に次ぐ2番目となった古川。年齢は重ねたが『今持っているものの深み』を発揮できれば、秋田と同じように日本代表でもチームに欠かせないリーダーとなれるはずだ。