モントレズ・ハレル

ファンの歓迎がハレルのエネルギーに、チームは5勝2敗と上々のスタート

モントレズ・ハレルはウィザーズに加わったばかりだが、すでにこのチームを自分の家のように感じている。彼のように闘志を前面に押し出して戦う選手は、フロントやチームメート、ファンと強固な結び付きがあればあるほど、それが闘志の源になり、常にエネルギッシュなプレーができる。ハレルにとってワシントンDCは、その環境だった。

ハレルは2015年のドラフト2巡目指名でロケッツに入り、クリッパーズとレイカーズを経てウィザーズにやって来た。NBAキャリアはすでに7年目だが、結果に見合った評価をなかなか得られなかった。シックスマン賞を受賞してもクリッパーズは彼との契約延長を望まず、レイカーズでは2年1900万ドル(約19億円)の契約を得たものの、レブロン・ジェームズとアンソニー・デイビスが軸のチームであからさまに脇役へと追いやられた。

それでも、ラッセル・ウェストブルックとのトレードでやって来たウィザーズは、彼にぴったりの環境だった。ブラッドリー・ビールを筆頭に冷静で落ち着いた選手の多いチームはハレルに合わないようにも思えるが、良いプレーにも悪いプレーにも叫び、感情をむき出しにするプレースタイルをウィザーズのファンは歓迎した。

チームに必要な戦力だと認められ、プレータイムが伸びていることは、彼にとってエネルギーの源となる。「僕はただ思い切りバスケをして、ゲームを楽しみ、攻守両面でチームに貢献したい。昨シーズンはそうじゃなかった。1シーズン丸ごと休んだみたいな感覚だった」とハレルは言う。

今シーズンのホーム初戦となったペイサーズ戦の途中で、シックスマンながら34分と先発と変わらぬプレータイムを得て14得点7リバウンドと攻守に奮闘したハレルに、スタンドからMVPコールが送られた。最近ではMVPコールがあまりに簡単に起こり、希少価値が失われているが、それでもハレルの魂を揺さぶる出来事だったのは間違いない。

次のホームゲームとなった10月28日のホークス戦に勝った直後、先発として25得点13リバウンド5アシストと大活躍だったハレルはコートインタビューに応じて、ファンに向かって直接こう語りかけている。「何の不安もなくバスケを楽しんでいる。自分の実力と頑張りが結果に繋がり、みんなに感謝されるのは最高の気分だよ!」

ブラッドリー・ビールは今シーズンもエースとしてウィザーズを引っ張っている。ハレルはその彼を背後からサポートするつもりだ。「このチームのリーダーはブラッドリーで、みんなの模範となる選手だ。彼は『自分について来い』と声に出すことなく姿勢で示している。できれば彼が声も上げられるように、僕が支えたい」

ハレルはウィザーズにとって異質なのではなく、これまで足りない要素だった『激しさ』を埋める存在となっている。ファンは本質的にそれを感じ、開幕早々から彼に大きな期待を寄せているのだろう。その期待が、彼には大きな刺激となっている。

チームは5勝2敗と上々のスタートを切った。ダニエル・ギャフォードのケガをハレルが埋めたのは大きい。八村塁は『個人的理由』で今シーズンまだ1試合も出場していないが、現地報道によれば初めてチームメートとともに練習を行ったとのこと。トーマス・ブライアントも年内には復帰できる見込みで、全員が戻って来ればウィザーズのフロントコートは質も量も充実したものになる。