OG・アヌノビー

攻守を牽引するOG・アヌノビーは36得点を記録

5勝1敗と快調なスタートを切ったニックスをラプターズが撃破した。OG・アヌノビーが36得点と活躍したが、何よりも印象的だったのはニック・ナースの魔法のような選手起用だ。

ルーキーのスコッティ・バーンズがケガで欠場となり、4年目のミハイリュクを先発に抜擢。その彼が15得点5リバウンド5アシスト2スティールと攻守に素晴らしい働きを見せた。さらに驚くべきは第3クォーターで、アヌノビーにミハイリュク、ギャリー・トレントJr.とフレッド・バンブリートの先発4人にケム・バーチを組ませた5人で後半をスタートさせて、一度も選手交代をしなかった。それで4点ビハインドから38-22のビッグクォーターを作って大逆転に成功し、そのまま危なげなくニックスを破った。

「あの5人は本当に一生懸命プレーしていたし、良い形を作って得点し、ディフェンスも機能していた。交代させる理由がどこにもなかったんだよ」とナースは説明する。

ラプターズはこれで5勝3敗、目立った成績には見えないが、これで4連勝だ。パスカル・シアカムは昨シーズンに負った肩のケガで欠場が続いている。日本人ファンが注目する渡邊雄太も今シーズンはまだプレーできておらず、この試合ではバーンズを欠いた。それでもチームはきっちり結果を残している。シアカムは11月中旬の復帰予定が近づいてきた。パワーフォワードのポジションではトレンドJr.が安定した活躍を見せており、シアカムが復帰すれば穴のない布陣となる。

昨シーズン途中、マジックから契約を解除されてラプターズに来たのを機にブレイクしたバーチは、今シーズンは若いプレシャス・アチウワに先発の座を譲って存在感が薄れているが、彼自身、起用法にも自分のプレーにも納得している。第3クォーターの大反攻を支えたニックス戦の試合後に彼は「平均得点の数字が落ちているのでダメだと思われているかもしれないけど、僕は何のストレスも抱えていない」と心境を明かしている。

「契約を延長できて、自分のスタッツを追わなくて済むようになった。得点は取れる日もあればそうでない日もあると、今は思えるよ。だからチームの勝利に貢献することだけに集中できる。変なストレスを感じることなく、勝つためだけにプレーするんだ」

バーチは今夏にラプターズと3年2000万ドル(21億円)の契約にサインしている。立場が保証されたことでアグレッシブにプレーできるようになり、なおかつ自分が評価されることにこだわらず、チームプレーに徹することができるようになった。

シアカムが復帰するまでは苦戦が予想されたラプターズだが、それを上回る結果を残している。ケガ人が戻れば、今の奮闘は層の厚さに繋がる。長いシーズンを戦い抜き、ポストシーズンで勝ち上がるには欠かせない要素だ。昨シーズンは様々なトラブルに見舞われて低迷したラプターズだが、今は『本来あるべき地位』を取り戻そうとしている。