ランス・スティーブンソン

写真=Getty Images

『宝の持ち腐れ』化を防ぐ、シューターとして目覚めるか?

このオフにレイカーズと1年契約を結んだランス・スティーブンソンは、レイカーズで新たに与えられる役割に備える準備を続けている。

レイカーズでは、ラジョン・ロンド、ロンゾ・ボールがゲームメークを担うようになるため、スティーブンソンは昨シーズンと比べてボールを持つ機会が減ると見られている。オフェンスの大半はレブロン・ジェームズが起点になる可能性が高く、レブロンが相手のマークを引き付けることでオープンな状態になる選手が増えるだろう。そのためスティーブンソンは、レブロンからのキックアウトを受けてシュートを高確率で決めなければならない。練習ではロングシュートを次々に決めるものの、3ポイントシューターという印象がないスティーブンソンは、キャリアの3ポイントシュート成功率も30.3%と低い。ボールを持って自らアタックする傾向が強い選手なのだが、このオフには、あまり聞き慣れない方法でジャンプシュートの改善に取り組んでいる。

スティーブンソンのスキルトレーナーであるロブ・ブラックウェルは、『The Athletic』に「このオフに取り組んだことの大半は、彼に自覚させることだった」と語った。またブラックウェルは「彼は素晴らしいジャンプシューターなのに、本人の中ではそれがファーストオプションではないんだ。彼のファーストオプションは、バスケットに向かってアタックすること。第二のオプションは、相手の守備を切り崩して、その選手のレベルが低いように見せようとすること。第三のオプションは、自分が得点を決めた後で、どうやって観客を楽しませようとするかを考えること」と苦笑する。「ランスの場合、個性的な部分がプレーに影響を与えてしまう。ただ、私たちは、彼が素晴らしい選手になれる力を持っていることを本人に理解させて、その部分に集中させようとしている。おどける仕草や、個性的な部分が出ないようにね」

テクニックを指導するトレーナーが、選手の内面的な部分についてもアドバイスを送るケースは珍しい。しかし、それで本来持っている力を引き出せるのなら、スティーブンソンのトレーナーには必要な『スキル』なのだろう。ブラックウェルは「彼のシュートは素晴らしいんだ。ただ、繰り返しになるけれど、それは彼のファーストオプションではない」と言う。

「だからこのオフには、シュートがファーストオプションになるように集中して取り組ませた。これまでなら、ボールを持って、目の前の相手と対峙するのが彼にとってのファーストオプションで、ワイドオープンな状態でもシュートを打たない傾向があった。レブロンとプレーすれば、スポットアップでのシュートも増える。ランスに求められる役割は、タフなディフェンダーであることと、キャッチ・アンド・シュートを決めることだ」

どれだけ優れた能力を持っていても、『宝の持ち腐れ』ではもったいない。ブラックウェルの『意識改革』が功を奏し、新シーズンではシューターとしてのスティーブンソンが見られることを期待したい。