ラッセル・ウエストブルック

ハードワークと勝負強さだけでなく『効率の良さ』を求められるシーズンに

ラッセル・ウエストブルックを加え優勝を目指すレイカーズですが、プレシーズンは散々なプレーばかりが目立ちました。派手な大型補強があった一方で、新加入選手ばかりで連携を欠いているのは明らかで、チームとして仕上がるにはまだまだ時間がかかりそうです。しかし、そんな事情には関係なく、勝てなければウェストブルックへの批判は止まらないはず。批判から逃げる選手ではありませんが、ロサンゼルスのファンに愛される存在になるにはそれだけのプレーを積み上げる必要があり、そこに達するまでの道のりは簡単ではなさそうです。

そもそもシーズン序盤のウェストブルックのプレーはひどいのが通常で、何でもないキャッチミス、何もないところで転倒するなど、スタッツに残らないミスも含めて目を覆いたくなるプレーを重ねてきました。それでも『ミスしてからが本領発揮』という性格の持ち主でもあり、すべてを取り返すほどの圧倒的なエネルギーで、ルーズボールやリバウンドを制し、スピードとフィジカルで強引にでもチャンスを作り続けます。そして試合終盤になれば勝負強いシュートでチームに勝利をもたらしてきました。

やたらとミスが目立つプレーは『アンチ』を生み出す一方で、所属チームのファンからは愛され続ける存在です。ファンからすると、ウェストブルックがもたらすエネルギーとドラマティックな試合展開は、何物にも代えがたい熱狂を生み出すのです。

今シーズンもこれまでと変わらぬエネルギー溢れるプレーを見せるでしょうが、レイカーズではこれまでと少し事情が異なります。アンソニー・デイビスがもたらすハードワーク、そしてレブロン・ジェームスが生み出すチャンスと勝負強さは、ウェストブルックの持つストロングポイントと重なっており、レイカーズファンからするとウェストブルックに新たな価値を見いだせるか分からない部分があります。

レイカーズ

チャンピオンリングを獲得したコンビに加わった『第3のスター』に求められるのは、より確実なプレーでチームの勝利を後押しすることしかありません。ウェストブルックも優勝するためには、自分のプレーをより効率の良いものに変えていく必要があります。特にディフェンス面での働きは重要で、カバーリングやリバウンドはデイビスとレブロンに任せ、エースキラーとしての役割に集中する必要も時には出てきそうです。

昨シーズンのウィザーズではアシスト役に徹し、チーム全体に得点させるプレーを見せましたが、レイカーズでは『ビッグ3』というチーム構成の中でバランスを取る必要があります。単にアシスト役に徹すれば機能するというわけではなく、試合展開によって主役からロールプレーヤーへと役割を変えられるかどうか、本能のままにプレーしてきた彼にとっては、新たな成熟ぶりが試されるシーズンとなります。