バックス

スタミナとショートレンジのシュートを決めるスキルの成長で優勝を実現

ヤニス・アデトクンボが『モンスター』であることは誰もが認める事実であり、リーグで最も止めることが困難な選手でありながら、リーグで最もディフェンスの優れた選手でもあります。その一方で彼を擁するバックスを相手から見れば、チームオフェンスの部分に弱点も多く、一定のパターンに追い込んでしまえば勝てないチームではありませんでした。

特に『アデトクンボにやらせ続けること』は最も重要なポイントで、攻守のキープレーヤーだからこそ、試合の早い段階からプレー機会を増やすことでスタミナを失わせ、勝負どころに向けて正確なスキルと判断力を削いでいく戦い方が有効でした。

しかし、昨シーズンのファイナルでは第6戦になって、50得点14リバウンド5ブロックとモンスター級のパフォーマンスを披露する脅威のスタミナを発揮しました。リーグで最も攻守の負荷が大きい選手は、リーグで最もタフな選手となって自らの壁を打ち破るとともに、バックスを優勝へと導きました。そしてスタミナと同時に、これまでのアデトクンボでは考えられないほど、ショートレンジのシュートを正確に決めていったのも彼の成長としてインパクトの強いものでした。

アデトクンボに対してはゴール下まで侵入されることを徹底して防ぐため、サイズで負けてもスピードで対抗できるウイングが『シュートは捨ててドリブルを止める』守り方をするのが有効な手段でした。東カンファレンス準決勝でもアデトクンボのスピードとパワーに対抗できるブレイク・グリフィンが見事にコースを止めて奮闘しました。

同じことをヒート時代に実行していたジェイ・クラウダーは、ファイナルでアデトクンボを止める役割を与えられました。ところが、アデトクンボはコースを止めているディフェンダーを抜くのではなく、その手前からショートレンジのシュートを次々に決めていき、バックスにチャンピオンリングをもたらしました。スキル面でも驚異の進化を見せたのです。

新シーズンもアデトクンボには徹底した対策が用意されるでしょうが、ファイナルで魅せたショートレンジの正確性を発揮すれば、各チームは対策そのものを見直さなければいけません。プレーオフという舞台における極限の集中力がもたらした偶然の産物だったのか、それともアデトクンボのたゆまぬ努力が実を結んだのか、それはこのシーズンで証明されることになります。

バックス

プレーオフの勝負どころで攻守に決定的な仕事のできるドリュー・ホリデーを獲得したことで、アデトクンボとクリス・ミドルトンの『ビッグ3』が誕生したことが、バックス優勝の大きな要素になりました。ですが、それ以上にエースのアデトクンボが新たな成長を見せたことが決定打となりました。

今オフは大きく動かず継続路線。PJ・タッカーは移籍したものの、ジョージ・ヒルやシェミ・オジェレイを補強したバックスが優勝候補であることに変わりはありません。しかし、連覇のためには現状維持ではなく、さらなる進化が必要になります。すでにリーグ最高の選手でありながら、いまだ進化を止めない『モンスター』こそがバックス連覇のキーマンです。