ファイナルに続き大一番で活躍するも「まだまだ伸びる」
アルバルク東京と栃木ブレックスによるアーリーカップ関東大会の決勝戦、一進一退の攻防が最後まで続いたが、72-70でA東京が上回り、連覇を成し遂げた。
終盤、A東京は5点前後のビハインドを常に背負う苦しい状況だったが、誰も集中力を失わず、逆転勝利をつかみ取った。そして、残り33秒、起死回生の決勝3ポイントシュートを沈めたのが小島元基だった。大会のヒーローは「うれしかったのはあります。でも来ると準備していたので、練習の成果が出たと思います」と淡々と語った。
A東京は馬場雄大、竹内譲次、田中大貴の3人が代表活動で欠場したが、それでも抜群の遂行力を発揮した。「少ない人数でも練習から常にハードにやっていたので、それが結果になりました。それをこれからも続けていくだけです」と表情を崩さない。
前年のリーグ王者が、その完成度の高さを見せ付ける大会となったが、小島は「まだまだ伸びる」と話す。「僕自身、ディフェンスの強度も上がってきましたし、まずディフェンスはまだまだ伸びると思います。ミルコ(ビエリツァ)だったり、コミュニケーションがまだ取れていない場面も多かったので、そういうところを地道にしていったら、もっとできます。オフェンスは去年からやっていることと同じですけど、それこそ状況判断で、常に質の高いプレーを目指せば、だんだんスキルも上がっていきます」
ビエリツァはまだ戦術理解が完璧ではなく、チームメートから動きの指示を送られながらのプレーとなり、オフェンスが停滞する場面も何度かあった。それでも小島は「仕方がないことですし、別にやりづらいとは思わないです。彼はもっとすごい選手ですし、これからどんどん連携も良くなると思います」と、伸びしろを強調した。
「大貴さんいらないよって(笑)」
代表選手が招集されたことで、A東京は8人での戦いを強いられた。その結果、普段は先発ポイントガードを務める安藤誓哉とのダブルガードの時間帯が多々あった。同じ役割を与えられている2人だが、コントロールをしたのは安藤だった。
「序列というイメージはない」と話す小島だが、「安藤さんは攻め方がうまいですし、戦術的にその後に僕にボールが返ってくるので、そこで僕は攻めるという感覚でした」とフィニッシャー役になることを選んだという。それが逆転の3ポイントシュートを生んだ。
昨シーズンはガードとして、パスを第一に選択していたという小島だが、このアーリーカップでは明らかにオフェンスの意識が高まっていた。「昨シーズンよりプレーにも慣れてきました。状況によってはパスを出しますが、とにかくいつでも点を取れる準備をするだけって感じですね」
テレビカメラの前では真面目な受け答えをしていたが、カメラがなくなった途端に表情を崩し、自然体の小島が出てきた。「僕はどっちかといったら、自分で得点を決めるより、アシストして気持ちよくなってほしいんです。自分はMですけけど、ディフェンスはSですね(笑)」
そして、仲の良い先輩の田中大貴については「優勝したよと伝えたいです。ふざけていうなら、大貴さんいらないよって(笑)」とディフェンスばりのSっ気を全開にした。昨シーズンもチャンピオンシップの素晴らしい活躍で優勝に貢献、そしてこのアーリーカップでも粘る栃木を振り切る起死回生の3ポイントシュート。新シーズンにはさらなる進化が見られそうだ。