アジア選手権を終え、次は日本一を目指す福岡第一の河村勇輝「強い気持ちで戦う」

2018/09/14
日本代表
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河村勇輝

取材・写真=古後登志夫 構成=鈴木健一郎

先月、横地聖真と河村勇輝はU-18日本代表として、ジャカルタでのU-18アジア選手権を戦った。オールラウンダーの横地はサイズのないチームで攻守を支え、河村は得意のドライブを駆使する切り込み隊長として、日本に流れを呼び込む役割を担った。結果としてはベスト8でオーストラリアに敗れ、来年のU-19ワールドカップ出場権を得られなかったが、ここで得た経験を次に生かすことが彼らにとっては大事なこととなる。

横地は福岡大学附属大濠、河村は福岡第一と、高校バスケの激戦区である福岡県を代表する強豪校の2年生。アジア選手権を戦うためにインターハイには出場できず、チームはそれぞれ早期敗退している。その雪辱の舞台は年末のウインターカップとなるが、そこに出場できるのは福岡で1校だけ。代表でともに戦った2人は、今度は全国への切符を懸けて対戦することになる。

バスケットボール選手としても、そして一人の人間としても急成長する時期、多感な年代の彼らが何を考えてバスケに打ち込んでいるのか。横地に続き、河村に話を聞いた。

厳しい練習も「インターハイで負けたので当然」

──まずは自己紹介をお願いします。

福岡第一高校2年の河村勇輝です。山口県の柳井中学出身です。

──これまでのキャリアとプレースタイルについて教えてください。

実績としては、中学3年の時に全中に出たくらいです。本当は全中でベスト8まで行ったら、あとは地元でバスケをやっていればいいかなと思っていたんですけど、ベスト16で西福岡に大差で負けて、それが悔しくて高校でもレベルの高いところでバスケを続けて、全国大会にも出たいと思いました。そこで井手口(孝)先生に声を掛けていただいて、第一に行くことを決めました。

中学生の頃はスピードという感じじゃなく、3ポイントシュートが多めのシューターだったんです。それが高校に入ってスピードをつけて、ドライブ中心のプレースタイルになっています。中学校までは大きな選手と対戦したことがなかったので、ボールをもらってからのスピードやチェンジ・オブ・ペースの大切さを学びました。第一に来て1年からいろいろな経験をさせてもらいましたし、自分のプレースタイルに合ったチームなので、やりやすい環境にいると思います。

──それだけ伸びているということは、練習も大変だと思いますが。

最近は特にハードですね。自分たちは7時から朝練ですが、Bチームは6時15分からやっています。そして18時まで練習をして、寮に戻って食事をして、20時からまたシューティングをしているので。授業があっての3部練習なので、みんな「ハァ……」ってなってますけど、でもインターハイで負けたのでそれも当然だと思います。

──そのインターハイはまさかの初戦敗退でした。河村選手がU-18アジア選手権で不在だったことも影響があったと思います。

(松崎)裕樹さんと自分がいなくても『KAZU CUP』とか大きな大会で優勝していたし、練習を見ていても全然問題ないと思っていました。優勝できると思っていたぐらいです。ただ、負けたことはどうこう言っても変わらないので、自分たちがアジア選手権で結果を出して第一にも良い刺激を与えられれば良かったんですけど、結局はワールドカップの出場権を得られずに終わってしまったので、代表の僕たちも初戦敗退と変わらないという感じです。ただ、レベルの高いところに挑戦したいという気持ちはいつもあるので、インターハイも大事ですけどアジア選手権に参加したことに悔いはないです。

河村勇輝

「アジアでやれたんだから、という謎の自信(笑)」

──アジア選手権での収穫、国際大会だからこそ学べたことは何ですか?

正直、オーストラリアには歯が立たないと感じましたが、負けたけど良い経験をさせてもらいました。自分のスピードに相手がついて来れなくて、フィニッシュのレイアップにもブロックに来れないし、そこは通用したと思います。身長のない自分を選んでくれたコーチに感謝したいです。

──アジア選手権で得られた自信は、チームに戻って役に立ちそうですね。

フィジカルも高さもシュートも、すべてが日本よりレベルが高かったです。そういう意味ではアジアの大会を一度経験して、そこで通用する部分が見付けられたので、日本に戻って来た時に「アジアでやれたんだから」という謎の自信があります(笑)。それは過信かもしれないですけど、日本では誰が相手でもやれるんだ、という強い気持ちでプレーできます。

──スピードはアジア選手権でも飛び抜けていたように感じます。足には自信がある?

小学校も中学校も徒競走ではずっと1位で、それは自慢なんですけど(笑)、50メートル走のタイムは6秒台で、第一の選手に僕より速い選手はいます。それに僕はターンが速くないので、それまでのスピードを速くしておかないと遅れてしまいます。でもバスケだと、チェンジ・オブ・ペースとかを使って「速く見せている」という部分が大きいかもしれません。

──福岡第一のスタイルはトランジションで、あれだけ走るのは体力的にキツいのはもちろん、気持ち的にも相当キツいと思います。練習も試合もハードで、心が折れることはないですか?

正直に言えば、みんな折れてると思うんですけど(笑)、でも心が折れてやる気がないままでバスケをしていたら、ウインターカップに出ても出れなくても、いろんなところで悔いが残ると思います。だからみんなキツくてもしっかりやるので、そこは第一の良いところですね。

──ちなみに今回は、福岡大学附属大濠の横地聖真選手にも同じ内容のインタビューをしています。横地選手はどんなキャラクターですか?

本当に『ちゃらんぽらん』してるんですよ。試合でも集中していない時は全然ですが、集中すると真価を発揮します。みんなそういう部分がありますが、横地はすごいです。それでも実はちゃんと考えながらバスケをしていて、試合中に「ここがこうだから、こう攻めて」と自分に言ってきてくれたりします。

──横地選手は松崎選手がライバルと言っていました。河村選手のライバルは?

誰かと得点で競うような気持ちを持つタイプではないので、ライバルはいないんですけど、相手のガードには絶対に負けたくないです。試合で対戦するガードは全員倒しに行く感じですね。

河村勇輝

「大濠を倒して、ウインターカップに出て優勝したい」

──試合中はガンガン仕掛ける強気なスタイルですが、こうして話をしていると高校生らしからぬ落ち着きがあります。もともとは穏やかな性格ですか?

どうですかね。でも一人が好きな性格ではあります。学校や部活ではみんなと絡んでるんですけど、寮に帰ったら一人だけの時間が、一日に1時間か2時間は欲しいです。ずっと一人でいたくはないんですけど。休みの日も友達と遊びに行ったりしますが、一日ボールを触っていない日があるのは嫌なので、遊びに行く前にもシューティングはやっていきますね。

──休みの日は何をして過ごすんですか?

遊ぶと言っても僕たちはあまり時間があるわけじゃないし、オフはだいたいキツい練習期間の後で、遊びに行くにしても身体は休めたいので、はっちゃける気にはならないです(笑)。買い物に出かけてナイキとかジョーダンを見たり、ご飯を食べに行ったりですね。

──勉強では苦労していますか?

中学の時はバスケじゃなく勉強で高校に行き、国公立の大学に進むつもりでした。第一でバスケができることになったんですけど、スポーツクラスではなくて特別進学コースを選んで、勉強も結構頑張っています。僕は親が2人とも教師なので、もともと進路は学校の先生を考えていました。第一に来て、こんなに試合に出れると思っていなかったんです。今はプロのバスケットボール選手を目指して頑張っていますが、大学で教員免許を取って、セカンドキャリアとして教員になろうと思っています。

──慌ただしい夏が終わりましたが、ここからウインターカップまであっという間です。

インターハイの初戦で負けて、第一は新チームになってから全国で1勝もできていません。インターハイでは井手口先生の顔に泥を塗ってしまったと思うので、それを晴らすべく、まずウインターカップ予選で大濠を倒して、ウインターカップに出て優勝したいです。国体はまた別で、大濠と一致団結して福岡県に貢献できるよう頑張っていきたいです。

──では最後に、「自分のここを見てくれ」というプレーを教えてください。

スピードはもちろんですが、いろんなパスのバリエーションが自分にはあります。ビハインドパスだったり股を通すパスだったり、是非そういうところを見て楽しんでもらえればと思います。個人的には背が低くてもバスケはできると証明したいので、そのつもりで頑張ります。