主導権を握り、最大で15点のリードを奪った川崎
10月9日、川崎ブレイブサンダースは敵地で宇都宮ブレックスとの第2戦を戦った。第4クォーターに猛追をくらうも78-76で競り勝ち、前日に敗れた雪辱を果たした。
川崎はエースストッパーの長谷川技を先発起用し、守備への意識をより強めて試合に入るが、比江島慎の3ポイントシュート、アイザック・フォトゥのフックシュートを浴び0-7と先行された。それでも、ボールマンへの激しいプレッシャーから流れを引き寄せ、マット・ジャニングのスティールからの速攻、さらには増田啓介がドライブからバスケット・カウントを獲得し、第1クォーターは17-16と互角のスタートとなった。
第2クォーターに入り、宇都宮は比江島慎のドライブ、フォトゥのセカンドチャンスからの得点、さらに田臥勇太がコーナーから外角シュートを成功と、内と外からのバランスの取れたオフェンスによる6連続得点で逆転する。ここでたまらず川崎はタイムアウトを取ると、直後のオフェンスでジョーダン・ヒースが3ポイントシュートを決めて流れを変えた。宇都宮も田臥がこのクォーターで7得点目となる3ポイントシュートを沈めて応戦するが、川崎は中盤以降、ニック・ファジーカスが本領発揮となる得意のフローターで得点を量産し、38-31で前半を終える。
後半に入っても川崎の流れは続く。ジャニングの連続3ポイントシュート成功などで突き放し、第3クォーター残り6分でリードを15点にまで広げる。だが、宇都宮は守備の激しさを取り戻して立て直すと、終盤にかけて竹内公輔の3ポイントシュート成功、渡邉裕規がスティールからファウルを獲得してフリースローで加点するなど、ベテランの活躍もあって6点差にまで戻した。
第4クォーター最初のポゼッションでパブロ・アギラールが3ポイントシュートを決めるが、宇都宮はこのクォーターで3ポイントシュート2本成功を含む8得点を挙げた鵤誠司の活躍などで徐々に追い上げる。残り1分17秒、比江島の本日4つ目のスティールからの速攻でジョシュ・スコットがフィニッシュし、ついに同点に追いつく。だが、川崎はファジーカスと藤井祐眞の2メンゲームから、スイッチによってファジーカスのマークをフォトゥから遠藤祐亮に変えさせてミスマッチを作り出す。ヘルプに来たスコットの影響でローポストから放ったファジーカスのシュートは外れるが、ゴール下に宇都宮のビッグマンは不在となり、その隙を突いたヒースがプットバックで押し込んで勝ち越した。
宇都宮は最後のオフェンスを比江島に託したが、ゴール下に切れ込んでからさばいたパスの行先に味方はおらず、痛恨のターンオーバーとなり、川崎が逃げ切った。
スタッツには表れない長谷川の貢献度
川崎の佐藤賢次ヘッドコーチは「反省点もいろいろとあって、チームとして質を上げていかないといけないです」と語るとともに、連敗を阻止できたことへの手応えを語る。「昨日の敗戦を受けて、今日はチームで攻めて守って、チームで勝つというテーマで臨みました。ボールもよく動いていましたし、守備もローテーションで足がよく動いていました。宇都宮さんのように質の高いスカウティングをしてくるチームに対し、2戦目でやり返せたのは我々にとって自信になります」
68-77で敗れた前日の試合、川崎は第3クォーターになって宇都宮にロングパス一本でゴール下にパスを通されるなど、速攻を何度も許したことが大きな敗因になった。しかし、今回はその課題もしっかり修正できた。指揮官はこう振り返る。「昨日のフルコートからそのままレイアップに行かれたのは遂行力の部分と、こちらの指示が共有できていない戦術的な課題がありました。今日はそこを修正したのと、遂行力も高かったです」
また、守備の修正に大きな貢献を果たしたのは、前日に13得点6アシストとオフェンスの起点になった比江島封じを期待され、今シーズン初のスタメン起用となった長谷川だ。後半の出だし、第4クォーター終盤と、ここ一番でコートに立つと、最後のポゼッションで比江島のパスミスを誘発した密着マークも含めしっかり期待に応えた。
「昨日はマット(ジャニング)にディフェンスをしてもらっていましたが、比江島選手の1対1でのステップ、緩急は独特のものがあるので初見では止めきれない。長谷川と比江島選手は学生時代からずっとやりあっている仲なので、癖も分かっていることを踏まえ今日は比江島ストッパーとして試合前からお願いをしてスタートになってもらいました。期待通りの活躍をしてくれたと思います」
長谷川は13分の出場で得点、リバウンドはともにゼロ、比江島はチームトップの17得点をマークした。それでも、スタッツには出ない長谷川の隠れた貢献は大きく、守備職人らしい熟練の技で川崎の同一カード連敗を防ぐ大きな働きを見せた。