デイミアン・リラード

「選手に『残ってほしい』と伝える気はない」

毎シーズン競争レベルが上がっている西カンファレンスにおいて、トレイルブレイザーズは8年連続プレーオフ進出という結果を残している。しかし、優勝を目標に掲げている球団は、2年連続でのファーストラウンド敗退を重く受け止め、前ヘッドコーチのテリー・ストッツを合意の上で退任させ、新たな指揮官にチャウンシー・ビラップスを招聘した。

オフにはラリー・ナンスJr.をトレードで獲得し、ノーマン・パウエルと再契約を結んだが、またしても大物選手を獲得できなかった。エースのデイミアン・リラードとCJ・マッカラムのバックコートデュオはリーグトップクラスの破壊力を持ち、インサイドには万能型センターのユスフ・ヌルキッチがいるとはいえ、すでに頭打ち状態なのは否めない。

ヘッドコーチ交代は新たな刺激になるとしても、それだけで上位陣との差を埋められるほど、今の西の競争レベルは甘くない。もし、今シーズン開幕後に成績が振るわない、あるいは主力に負傷者が出てしまった場合、以前から噂されるリラードを含む大型トレード成立の機運は高まるだろう。

ビラップスは、リラードとの仕事を希望しつつ、仮に具体的なトレード案が浮上した場合、「最終的には選手本人が自分と家族のために決断すること」と『Sirius XM NBA Radio』で語った。

「私はこのチームを率いるために来た。しかし、大事なのは選手のキャリア、人生、家族だ。私も同じ立場に立ったことがある。私は選手に『残ってほしい』とか、何をどうしてほしいと伝える気はない。私には私の仕事がある。もちろん、リラードと仕事がしたい。ただ、選手はどこかのタイミングで『もしかしたら、違う環境の方が……』と考えるかもしれない。それを決めるのは私ではない。最終的には選手本人が自分と家族のために決断することだ」

リラード本人は、以前から自分の意思で移籍するつもりはなく、ブレイザーズ一筋のキャリアを希望している。そして球団も、リラードを含むトレード案に聞く耳を持たないと報じられるなど、エースを手放す考えはない。

正直なところ、東京オリンピックを経験し、さらに強いリーダーシップを纏ったリラードがいれば、9年連続のプレーオフ進出は可能だ。しかし優勝できるかと問われれば、大きなクエスチョンマークが付いてしまう。

ビラップスのコーチング、リラードの去就を含め、開幕後も何かとブレイザーズ関連の話題は増えそうだ。