ジョエル・エンビード「僕の得点は伸びなくていい」
セブンティシクサーズはホームで最初のプレシーズンゲームとなったラプターズ戦に125-113の快勝を収めた。3日前には同じラプターズと敵地で対戦して敗れているが、この時には欠場していたジョエル・エンビードやトバイアス・ハリスが出場して、チームはあらゆる意味でレベルアップした。ベンチ入り15選手全員にプレータイムを与えながら、活躍すべき選手が活躍している。
3ポイントシュートは50%近い成功率を出し(37本中18本成功)、前から激しく当たるディフェンスから速い攻めへと繋ぐことでラプターズを圧倒した。それでも指揮官のドック・リバースは先の試合からのポジティブな変化を「ペイントタッチが増えたこと」と語る。「先日の試合ではほとんどペイントエリアに入れなかったが、今日はそのチャンスがいくらでもあった。ペイントに入ったら決めに行かなければいけない。そのプレーの判断も良かった」
これはまさにエンビードとハリスのパフォーマンスが大きい。エンビードは右ウイングから仕掛けてのジャンプシュートで、ハリスはポストアップから反転してのジャンプシュートでシーズン初のフィールドゴールを決め、試合序盤から勢いに乗った。エンビードは20分の出場で10得点6リバウンド3アシスト、ハリスは24分の出場で14得点4リバウンド4アシストと、まだ試運転だが十分な存在感を見せている。
オンボールでのプレーが多い2人が、まだ出場時間が短いにもかかわらずアシストを伸ばしているのは良い傾向だ。エンビードは自分たちのスタイルへの手応えをこう語る。「パスを回してダブルチームを誘い、キックアウトから3ポイントシュートを決める。これが僕たちのやりたいゲームだ。僕らが思い通りのプレーをすれば、相手はすべてのポゼッションでダブルチームやトリプルチームに来る。僕の得点は伸びなくていいんだ。試合前にタイリース・マクシーには『今日は0得点10アシストで行く』と言っていたぐらいだからね」
今オフのシクサーズは、ベン・シモンズのトレード要求の話題しかなかったと言っていい。問題はまだ片付いていないが、チームはシモンズ抜きで動き出している。それを示す試合内容だった。指揮官リバースが「競争させている」と言うタイリース・マクシーとシェイク・ミルトンはそれぞれ1試合ずつ先発起用されて、それぞれ持ち味を発揮している。エンビードも「今シーズンは得点にこだわらずプレーメークに加わり、できる限り彼らをサポートしていく。僕らはお互いのことをよく知っているし、一緒にプレーすることでのアドバンテージを最大限に引き出したい」と、彼らをサポートしながらチームを成長させていく決意だ。
アンドレ・ドラモンドは2試合連続で2桁得点を記録し、インサイドの要としての存在感を見せている。さらにはジャズから加入したジョージ・ニアンは堅守に加えて4本の3ポイントシュート成功と結果を残した。
ベン・シモンズ問題は解決の道筋が見えていない。フロントは今後も少しでもマシな決着に向けて努力するだろうが、チームはすでにシモンズ抜きで戦う準備を進めている。周囲が騒がしいからこそ、選手たちは目の前のやるべきことに集中できているようだ。